「吉村知事」が語る「西浦モデル」の問題点 教授本人はなんと答えるか
大阪府の吉村洋文知事は、6月12日の「第2回大阪府新型コロナウイルス対策本部専門家会議」終了後の囲み会見で、北海道大学の西浦博教授(理論疫学)の数理モデルをもとにコロナ対策を行ってきたことについて、
「国を挙げて批判的検証をしないと間違った方向に進むんじゃないか」
と、懸念を表明した。
速報「帰りたいと懇願する被害女性に行為を続けた」 大阪地検元検事正「一転、無罪を主張」の背景に「ホラ吹き女性副検事」の存在が
速報悠仁さま「一軒家借り上げプランの検討も」 筑波大ライフの見直しタイミングは夏休みか
吉村知事はあらためて本誌(「週刊新潮」)の質問に、こう答えた。
「西浦先生には敬意を表していますが、感染拡大時に冷静な分析は難しい。緊急事態宣言などの政策は、僕は正しかったと思いますが、第2波がきても同じことをするのか、事後に冷静に検証するのは別のこと。第1波の自粛要請で生じた経済、社会へのダメージはものすごい。失業率も2%上昇し、自殺者も2千人増えると言われ、そちらの命も守らなきゃいけない。で、抑えこみの出発点が西浦モデルでした。次の波に備えて同じことをしたら、国家は危機的状況になる。ほかの指標はないか探し、出てきたのがK値でした。国家の浮沈を決める重要な局面で、西浦モデルに批判的意見を言う人が出てこないことに、危機感を抱いています」
では、国の政策を動かし、社会経済活動を停止する大本の試算を提示した西浦教授はなんと答えるか。
「中国しか制御できていなかった3月下旬、接触を減らすことが必要で、被害想定や接触削減の目標が据えられました。(強烈なインパクトを受けた)吉村知事のリアクションは、妥当なものであったと思います」
と言いつつも、吉村知事が「全部抑えなければならない」と思ったことは、
「当方の担当している話と逸れ、厚労省と大阪府のコミュニケーションの問題かと思います。(社会的なインパクトを与えたと批判されるなら)感染症疫学の問題と経済学の問題を混在して、感情的に議論していると思う。私を含め感染症の専門家は、流行制御のためにシナリオを分析していて、他方、経済的インパクトは経済学者にご意見を聞いていただかないといけません」
また、42万人の被害想定と接触8割削減の目標は、
「キッチリ分けてお考えください。前者は科学顧問あるいは首相が説くべきであったと思う。この感染症は流行の展開が早いなか、どうして専門家が体を張って、前のめりに発表しないといけなかったのか、みなさんには共有してもらいたいと思っています」
自ら発表せざるをえなかった、政治と行政への不満をにじませるのである。
[1/2ページ]