子供に「護憲平和教」を刷りこむ教科書 ―中・高校編―
詭弁の多用
前回は小学校の社会科教科書の偏向ぶりをご紹介した。その子供たちが進学していくとどうなるか。潮匡人氏の新著『誰も知らない憲法9条』をご紹介しよう(以下、同書より引用・抜粋)。
採択率の高い代表的な東京書籍(『新編 新しい社会 公民』)は、「平和主義」を説きつつ「自衛隊」に関連して、次のように述べている。
「一方で、自衛隊は憲法9条の考え方に反しているのではないかという意見もあります」
もちろんそういう意見はあるのがだ、「反していない」という意見は無視、黙殺。さらに、こう続く。
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「2015(平成27)年には、日本と密接な関係にある国が攻撃を受け日本の存立がおびやかされた場合に、集団的自衛権を行使できるとする法改正が行われました。これに対して、憲法第9条で認められる自衛の範囲をこえているという反対の意見もあります」
ここでも、賛成の意見もあった事実は書かれていない。潮氏は指摘する。
「『反対の意見も』という表現で、賛成の意見があったことを暗に示している、という反論(?)が用意されているのかもしれませんが、それは詭弁ではないでしょうか。これでは自衛隊も、平和安全法制(安保法制)も憲法違反という印象を生徒に植え付けてしまいます。こんな一方的な教育をしてもよいのでしょうか」
憲法違反という刷りこみ
こうした手法を用いた「偏向」は多く見られる。教育出版の中学教科書(『中学社会 公民 ともに生きる』)。
「一方で、国民の中には、自衛隊のもつ装備が『自衛のための最小限度の実力』を超えるものだとして、自衛隊は憲法に違反するという主張もあります」
先ほどと同様、わざわざ「自衛隊は憲法に違反するという主張」のみを強調しているのだ。潮氏はこう厳しく批判する。
「ここでも『違反しない』という『主張』は紹介されていません。だいいち問題は憲法の『解釈』なのですから、べつに『主張』の有無など重要ではありません。
たしかに違憲と解釈する学者はいます。ですが、『自衛隊は憲法に違反する』と『主張』する『国民』など、ごくごく少数に過ぎません。
なのに、それを、わざわざ取り上げ、義務教育段階で上のように教科書に明記し、そう生徒に教える。これでは自衛隊も、集団的自衛権の行使も、憲法違反ということになってしまいます。こんな一方的な教育をしてもよいのでしょうか。教育勅語の朗唱が『洗脳』なら、これは何と言えば、よいのでしょうか」
進歩的文化人のクセ
潮氏が調べたところ、高校の教科書でも、この傾向は変わらなかった。それどころか、より「クセが強い」ものもある。たとえば実教出版の『高校政治・経済』では、
「憲法の平和主義は決してたんなる理想論ではない」と明記(宣言?)した上で、なんと次のように断定する。
「軍事力によって日本の安全を確保するという考え方のほうが、むしろ現実性に乏しいとさえいえるのである」
こうした教科書には、監修者と称して、有名大学の教授の名前が並んでおり、その多くはかつて「進歩的文化人」と呼ばれた陣営の人々である、と潮氏は指摘している。
子供たちに平和の尊さを教えることに異論を持つものはいない。しかし、一方で軍事力と外交を切り離した思考は、世界的に見てもかなり特殊である。現実から目を背けた特定の主義を刷りこむのであれば、洗脳に近いのではないだろうか。