「バターを食べることは淫行よりも大きな罪」――忌み嫌われた食材が高級料理に成り上がるまでの「凄絶な歴史」

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 かつてのローマ帝国や地中海沿岸では、バターは北の野蛮人の食べ物として軽蔑されていた。キリスト教徒が断食する際も、乳製品は禁止され、代わりにオリーブオイルを輸入するよう求められたという。

 これに憤慨した一人がマルティン・ルターだった。断食ルールへの怒りは政治体制の上層部にまで達し、北ヨーロッパで宗教改革が強く支持された要因になったとも考えられている。
 
 脂肪と人類の一筋縄ではいかない関係を、歴史と科学の両面から描く『脂肪と人類 渇望と嫌悪の歴史』(イェンヌ・ダムベリ著、久山葉子訳、新潮選書)から一部を抜粋、紹介する。...

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