「ソフトバンク」悪夢の開幕ダッシュ失敗…主力離脱よりも気になる「第二の千賀」「第二の甲斐」が現れない“育成システム”への大いなる疑問
大型補強の繰り返しに批判が集中
「筑後ホークス」の奮闘にもかかわらず、ソフトバンクは最終戦でオリックスの逆転優勝を許すという屈辱を味わう。
リベンジを誓ったソフトバンクは2022年のシーズンオフに巨額の資金を投じて大型補強を敢行する。育成から、なりふり構わない獲得へ──これに違和感を覚えた野球ファンは多かった。
日本ハムから近藤を7年50億円超、DeNAから嶺井博希を4年3億円、ロッテからロベルト・オスナを6億5000万円で獲得。年をまたいで23年1月は日ハムからレンジャーズに移籍していた有原航平を3年12億円で日本に帰国させた。他にも外国人選手と高額の契約を結び、補強に投じた総額は約80億円と報じられた。
2023年のオフには西武から山川穂高を4年16億円で獲得して物議を醸した。山川は同年5月、警視庁によって書類送検されている。8月に嫌疑不十分で不起訴処分となったが、事態を重く見た西武は9月に無期限の出場停止処分を発表していた。「その補強に“正義”はあるのか」と、一部の野球ファンは猛反発した。
さらに昨年12月、日本ハムからメジャーリーグに挑戦し、レッドソックス傘下3Aウースターに所属していた上沢直之と4年総額10億円プラス出来高払いで契約すると、さすがに批判が集中した。上沢はアメリカで1年しかプレーせず、さらに帰国後は日ハムの施設で練習に励んでいたからだ。
スカウトも育成も問題
野球評論家の広澤克実氏は「率直に言いますが、野球関係者の間では最近、『育成のソフトバンク』という看板を疑問視する声が出ています」と明かす。
「理由は主に2点です。1点目は、“ポスト千賀滉大”、“ポスト甲斐拓也”が現れていないことが象徴的、という見解です。丁寧に見れば有望な若手が育っているかもしれませんが、育成枠から千賀投手や甲斐捕手ほどのスター選手は誕生していません。2人の後釜が順調に活躍しているとは言えないのです。2点目は育成枠出身のスター選手を多くのファンが歓迎した一方で、歴代のドラフト1位は何をしているんだという指摘が少なくないことです。つまり近年のソフトバンクはスカウティングに問題があるのではないかという説は根強く囁かれてきました」
第二の千賀も第二の甲斐も育っていない。おまけにドラフト1位で即戦力も獲得していない……。残された手はただ一つ、他球団からの獲得ということか。
4月15日現在、ソフトバンクは引き分けを挟んで4連勝と好調で、順位を戻して3位となっている。ただ気になるのはチーム防御率が3・72でパ・リーグワースト2位なのと、チーム三振数が106でリーグワースト1位という点だ。
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