選抜より盛り上がった「U-18日本代表合宿」 “甲子園未出場”のドラフト有望株に向けられるスカウト陣の熱い視線
「ドラフトの対象選手になるのは確実」
右腕では、森陽樹(大阪桐蔭)がスカウト陣の熱い視線を集めた。聖心ウルスラ中学時代は、スピードが出づらい軟式球で、140キロを超えるストレートを投げており、昨年は春夏連続で、甲子園で登板した経験を持つ大型右腕だ。
紅白戦では、少し制球に苦しんだものの、2回を無失点に抑え、筆者のスピードガンによる計測で、芹沢に次いで2番目となる146キロをマークした。
変化球は、打者の手元で鋭く変化するカットボールが持ち味。紅白戦後の取材では、冬の間に緩急をつけるカーブのレベルアップにも取り組んできたと語っていた。
セ・リーグ球団スカウトは、森について以下のように評価する。
「下級生の頃から注目されていたので、その分、少し物足りないようにも見えますが、こうやって同世代のトップクラスと比較すると、やはりモノが違うと感じますね。あれだけの身長(190cm)があって、器用なところもある。ピッチングをまとめる力は、着実についていると思います。ドラフトの対象選手になるのは確実で、あとは上位で指名されるかどうかですね」
大阪桐蔭は、昨秋の近畿大会の初戦で滋賀学園に敗れ3季連続の甲子園出場を逃した。森も、最終学年にかける気持ちはより強いはずだ。夏に向けてもうワンランクレベルアップしたところを見せれば、ドラフト1位指名も視野に入ってくる。
矢のような送球を連発
一方の捕手で、強烈なインパクトを残したのが、大栄利哉(学法石川)だ。初日に行われたフリー打撃では、木製バット(野球ワールドカップでは金蔵バットは使用しない)に苦しむ打者が多い中で5本の柵越えを記録すると、紅白戦でも2本のツーベースを放っている。
また、守備では、矢のような送球を連発。2.00秒を切れば、強肩と言われるセカンド送球タイムでもコンスタントに1.8秒台をマークした。大栄のプレーに対して、スカウトからは称賛の声が聞かれた。
「少しアピールしようとし過ぎて力みもあったせいか、スローイングは少し慌ててばらつくことがありましたが、送球の強さは、ちょっと他のキャッチャーとは違いましたね。なかなかあれだけのボールを投げられる高校生のキャッチャーはいません。バッティングも木製バットにしっかり対応していました。引っ張るだけでなくセンターを中心に打てる。守備も打撃も高校生でトップクラスだと思います」(パ・リーグ球団スカウト)
大栄は、昨春の選抜にも出場しているが、大会前に自転車乗車中に強風にあおられて転倒してしまった。その影響で、代打のみでの出場に終わっている。このため、今回の合宿でアピールする気持ちは強かったと話していた。このまま順調にいけば、今年のドラフト指名も見えてきそうだ。
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