トランプ関税で株価暴落 実は「計画通りのシナリオ」のワケ 米国債デフォルト回避に必死
関税政策で大失敗した過去
確かに、トランプ大統領はことあるごとにFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長に利下げを迫ってきた。株価が急落した4日も「パウエル議長が金利を引き下げるには今が絶好のタイミング」と催促している。
大統領が独立機関とみなされているFRBに圧力をかけることはタブーされてきたことを考えると、トランプ大統領の干渉は極めて異例と言える。アメリカの政策金利は現在、4.5%。これをコロナ禍が始まった2020年の0.25%に近付けるために株価暴落→金利低下→米国債を低金利で借り換える、というシナリオらしい。
財政破産を免れるためにあえて株価暴落を誘導しているのだとすれば危ない橋としかいいようがない。
しかも、アメリカの歴史を振り返ると関税政策で大失敗した過去がある。
「1929年の世界恐慌の際、米国のフーバー大統領はスムート=ホーリー法と呼ばれる高関税政策を採用して、輸入品に対する平均関税率を1925年の40%弱から1932年には60%近くにまで引き上げました。
国内産業の保護が目的でしたが、高関税により世界貿易が停滞し恐慌をさらに深刻にする逆効果を招いてしまいました。もちろんトランプ政権がこうした前例を知らないはずがありません。
トランプ大統領は『貿易相手国が驚異的な何かを提供すれば関税の引き下げ交渉に応じてもよい』と語っています。さっそくベトナム首脳が対米関税の撤廃を提案するなど“効果”が出始めました。他国もこれに続けば関税強化による脅しを徐々に和らげるかもしれませんが、かなりの劇薬であるのは間違いありません」(経済部記者)
一方、トランプ大統領自身の経歴を振り返ると“破産”との縁が深いことが見て取れる。
「1983年にニューヨーク・マンハッタンの目抜き通り5番街に、トランプタワーを建設するなど“不動産王”と呼ばれていました。しかし、80年代後半には経営不振の大手航空会社・イースタン航空に関わって失敗。91年にはアトランティックシティーのカジノ・タージマハルが破綻し、92年には経営するホテルが倒産するなど過去に4回の破産を経験しています。
一時期は負債が約9億ドル(約1315億円)に膨れ上がり“世界一貧乏な男”と揶揄されましたが、民事再生によって苦境から立ち直ってきました。その剛腕が国家財政にも生かせるかは今後を見守るしかありません」(前出の経済部記者)
トランプ流は吉と出るのか、あるいは破滅へと進むのか。
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