トランプ関税で株価暴落 実は「計画通りのシナリオ」のワケ 米国債デフォルト回避に必死

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下落幅は史上3番目

 トランプ関税の発表後、世界中の株価が暴落している。アメリカのトランプ政権が2日に関税の国別リストを発表すると3日の米ダウ工業株平均株価は前日終値より1679.39ドル(3.98%)下落。さらに4日は前日比2231.07ドル安の3万8314.86ドルで取引を終えた。

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 8カ月ぶりに4万ドルを割り、下落幅は史上3番目というからまさに大暴落だ。日本市場も週明け7日は寄り付きから3000円近い下落となるなど、惨状が世界中に広がっている。

 経済アナリストがこう指摘する。

「トランプ大統領は、アメリカ以外の各国が不公正な貿易政策を実行しアメリカ市場で荒稼ぎしてきたとして、報復のために高い関税の必要性を主張しています。米国の貿易赤字約1兆ドル(約146兆円)の内訳を見ると、1位は中国の約2700億ドル、2位はメキシコの約1500億ドル、3位はベトナムの1100億ドルで5位の日本は約690億ドル。

 つまり日本は対アメリカでは約690億ドルの貿易黒字です。アメリカの製品を買わずに、逆にアメリカで自国製品を大量に売って大儲けするのはけしからん、というのがトランプ大統領の考え方です」

 そんなトランプ大統領はまず3日に自動車に対する25%の追加関税を発動。中国に対しては「最悪の違反者」として現在の20%に加えてさらに34%の関税を上乗せした。対抗措置として中国政府は4日、米国からの全輸入品に同じく34%の関税を課すと発表。そのため世界貿易が停滞し景気が悪化するとの懸念が強まり、投資家が株を大量に売却したのだ。

 NISA(ニーサ、少額投資非課税制度)を利用して株式を所有している一般庶民からはため息ばかりが漏れているが、国際経済に詳しいアナリストは「株価暴落は計画されていた」と分析する。いったいどういうワケなのか。

 実際、トランプ大統領は株価下落について「予想通りだ。アメリカは重病患者だったが、解放記念日に手術を受けたから好景気になるだろう。(世界中から)何兆ドルもの資金がアメリカに投入されることが約束されているからだ」と強気の姿勢を崩していない。

「トランプ大統領の頭の中にあるのはアメリカの金利を何としても下げること。その理由はアメリカの財政が破産する危機が迫っているからです。現在、米国債の残高は36兆ドル、日本円で5300兆円もあります。

 このうち、2025年に満期を迎える国債は約9.2兆ドル。政府はこれを償還するため、新たに同額の借り換えを行わなければなりません。加えて、年間の利払い費用も約9520億ドル(約140兆円)とされており、これは国防予算に匹敵する巨額です。

 米国債の償還は今後数年続きますから、可能な限り低金利に誘導しないと、巨額利払いが将来にわたって続くことになる。そういった事態を回避するため金利を下げるのに必死なのです」(前出のアナリスト)

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