6代目山口組から一方的「抗争終結宣言」も 訪れる平和は本物か偽物か

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3者会談の中身

 手打ちが行なわれ、平和が訪れたかに見えたものの、不穏な空気は漂ったままで、ついに――映画「極道の妻たち」など、フィクションの世界ではお馴染みの展開である。では現実世界で事はどのように進行するのだろうか。3月中旬、6代目山口組若頭で3代目弘道会の高山清司総裁と同・若頭補佐の竹内照明会長、そして6代目稲川会の内堀和也会長とが会談を行ったことは以前にお伝えした。会談のテーマは、6代目山口組と神戸山口組の抗争集結に関するものだったとされている。その後、進捗はどうだったのだろうかお伝えする。

 会談は3月13日、9代目玉屋一家(本部:愛知県津島市、6代目山口組の3次団体で、上部組織は3代目弘道会)の本部において行われた。メンバーは6代目山口組若頭で3代目弘道会の高山清司総裁と同・若頭補佐の竹内照明会長、そして6代目稲川会の内堀和也会長だ。「話し合いのテーマは6代目山口組と神戸山口組との抗争について。神戸山口組の井上邦雄組長の引退と組織の解散を促すべく全国の主だった任侠団体の賛同を取りつけ、抗争終結に向けた打ち合わせをするためのものだった」とのことだ。

全国の主だった任侠団体の賛同は?

 それから1か月近くが経つ。

「全国の主だった任侠団体の賛同を取りつけ」られたのだろうか。元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏(現在は、NPO法人「五仁會」を主宰)に聞くと、「ひとまず白紙になったと聞いています。特に九州の団体から同意を得られなかったようです」とのこと。約10年にわたって続く抗争をそう簡単に終わらせることはできないということなのだろう。

 意外にも、抗争終結を望む声は劣勢が伝えられる神戸山口組ではなく、6代目山口組からの方が大きいようだ。

「各地の公安委員会から特定抗争指定されていることがボディブローのようにきいていると言われています。指定解除されない限り、警戒区域内での事務所への立ち入りや組員が5人以上で集まることが難しい。構成員が激減して体を成していないのではないかとも言われている神戸山口組はともかく、6代目山口組は組織としてサバイブしていこうとしている。抗争を終わらせないと特定抗争指定を外せないのなら抗争を終わらせる、終わらせた形にするという発想が出てくるのかもしれません」

 と、担当記者。

6代目山口組側の代理人が語る

 加えて、暴力団を狙い撃ちして追い詰める警察側の圧力も強くなってきている。

「その1つがETC問題です。2024年、弟名義のETCカードを使って高速道路料金の割引を不正に受けたとして電子計算機使用詐欺の罪に問われた6代目山口組の2次団体・秋良連合会の金東力会長に懲役10か月の実刑判決が言い渡されました。車に同乗していない家族のカードを使っても暴力団関係者でなければ訴追される可能性はほぼない中で暴力団、中でも6代目山口組が狙い撃ちされているのは明白ですね」(先のデスク)

 高速道路大手は暴力団排除条項を根拠に暴力団との取引を拒絶の姿勢を鮮明にしているようだ。クレジットカードを取得していない人でもETCが利用できるという「ETCパーソナルカード」に関する件でも訴訟が続いている。

 6代目山口組側の代理人・二宮広治弁護士が語る。

「高速道路会社の反論を一言でいえば“通行できなくなるわけではない”と“暴力団排除は社会の要請であり不当ではない”というものです」

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