男尊女卑な傾向は“九州”だけの問題か? 佐賀在住の編集者が語る「さす九」騒動…問題の根源は「都会VS地方」ではないか

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 先日「#さす九」というハッシュタグがXで盛り上がった。「さすが九州」の略で、九州の男尊女卑の傾向を皮肉ったワードだとして、西日本新聞がこれを差別的だと批判的に報じ、トレンド入りを果たしたのだ。そして結果的に、女性を中心に「#さす九」の実態が次々と投稿される事態になった。

 基本的には「夫が家事をしない」「妻にやたらと命令をし、自分では動かない」「姑も嫁をこき使う」「自宅の宴会では男だけが大広間で酒を飲み、女は台所で料理を作り、大広間に運ぶ」といったものだ。そして、「だから私は九州の男と結婚しなかった」や「東京に来て飲み会でサラダを取り分けてくれる男性がいて驚いた」といった話にも発展する。

 筆者は東京出身で、現在は佐賀県唐津市在住だが、こうした話は事実であろう、といった感慨は持つ。ただ、ネットのコメントを見ると東北や北陸の人からも同様の訴えは出てきているだけに、九州特有かといえばそこはよく分からない。

 むしろこの件は「都会vs地方における男女の扱いの違い」という話なのではなかろうか。確かに私の母の実家である北九州市と現在住む唐津市ではこのようなものはある。何かと「嫁女(ヨメジョ)」や「女子(オナゴ)」といった女性を一段下に見るような言葉は登場するし、若い女性は「雑務をやらせていい存在」的な風潮も存在する。

「コピーは女の子に」という平成初期的価値観

 先日打ち合わせをした際、資料のコピーが足りなかった。それを準備した男性・A氏をB氏は「なんでコピーをもう少し用意しないのよ」となじった。そして、こう続ける。

「あのさ、ここ(某施設)のアノ若い女の子にコンビニに行かせてコピーさせればいいじゃないの。なんであなたはそう準備が悪かね。もちろんオレだって彼女に時にはスイーツを買ってきたりするけどさ、そういう仕事は女の子に任せた方が早く進むのよ」

 確かにB氏が言うことは業務効率のことを考えれば合理的ではあるが、この施設には若い男性従業員もいる。だが、コピー程度のことは「女の子」にさせればいい、という平成初期までの考え方がまかり通っている面がある。

 私が1997年に会社員になった時も、アシスタント業務をする派遣社員の女性のことは「〇〇ちゃん」と呼ぶ習慣があった。少し立って歩くだけでコピー機にはたどり着けるのに「〇〇ちゃん、今からプリンターから書類が出るから、3部ゼロックスよろしく」と一言言う。ちなみにゼロックスとは「コピーする」の意味である。

 さらに、大事な得意先をポールダンスの施設に連れて行った際、その得意先が壇上に行かない。すると自分が手本を見せる、とばかりに壇上に上がり、ダンサーに抱き着き「このようにやればいいのです!」と得意先に言うと自慢する男性もいた。

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