任天堂の「Switch2」転売対策 不安が残る「中国人」「素人」転売ヤー“2つの抜け穴”
中国人転売ヤーたちにとっては好機到来?
国内版の説明文には<対応言語は日本語のみです。「国/地域」を「日本」に設定しているニンテンドーアカウントのみ連携できます。>との記載があるが、「国/地域」を「日本」にさえしておけば、海外でも遊べる可能性は高そうだ。
「また、最大の懸念はSwitch2の発売が中国本土で見送られたことです。ユーザーが個人輸入するなどの手がないわけではないですが、基本的に中国では転売でないとSwitch2を入手できないことを意味します」(奥窪氏)
海外版は「日本語を含む16言語に対応」するとのこと。台湾をはじめとする中華圏でも非常に人気の高いSwitchだから、対応言語から「中国語」が除かれていることは考えにくく、中国ユーザーの需要は高いと見られる。
「中国人には“手に入りにくいものこそ、どうしても手に入れたがる”という気風があります。公式販売がなくなったことで、かえって中国人の購買意欲に火がつき、転売価格が高騰することは十分にあり得ます。まず買い求められるのは多言語対応の海外版でしょうが、先ほどお話しした通り、安価な日本語版に人気が波及する可能性もあります。中国人転売ヤーたちは、この商機に備え、既に仕入れ方法について情報収集を始めているはずです」(同)
素人転売ヤーの大量発生を招く?
抽選販売の参加条件についても懸念があるという。
「メルカリなど気軽に転売に使えるツールが発達したことで、最近は“とりあえず抽選に参加しておいて、当たったら転売すればいいや”という、素人転売ヤーが増加しているのです。大谷翔平選手の出場したMLB開幕戦では、チケットの超高額転売が話題になりましたが、この背景にある素人転売ヤーの影響は小さくありません。商品の需給バランスを悪化させているのは、プロ転売ヤーだけではないのです」(同)
条件を設けたことで“せっかく応募条件は満たしているから、応募しておこっか。もし当たったらいい小遣い稼ぎになりそう”という転売マインドを招いてしまいかねない、というわけだ。もしSwitch2の抽選販売で、そうした素人転売ヤーが大量発生してしまったら――。
「転売ヤー対策として取り入れられることの多い抽選販売は、かえって商品の入手難易度を上げることになり、転売の流通点数こそ減らせても、逆に転売価格を押し上げてしまう側面があります。それは転売ヤーにとってもウェルカムな状況です。転売ヤーを本気で撲滅しようと思ったら、結局は商品の販売価格を上げるほかありません。Switch2であれば例えば10万円にしたとしても、本当に欲しい人は買うはずです。ただ、販売戦略や顧客ロイヤリティの観点で、任天堂はあえてそれを避けたのでしょうね」(同)
新たな対策が、転売ヤーの新たな“うまみ”を生み出すことに。いたちごっこは続く――。
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