ポルシェの横をノロノロと…渋谷のど真ん中で「トラクターの大行進」が! 農家たちが訴えた厳しいリアル 「稲作農家の所得は時給わずか10円」

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 高級ブランドショップや有名飲食店が多数入る人気スポット、渋谷のミヤシタパーク前の明治通りに突如姿を現したのは、トラクターの行列。「令和の百姓一揆」なる幟(のぼり)を掲げているが、一体何が起きていたのか――。

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ダイコンとタマネギをぶら下げて

 先頭をブォ~ンと独特のエンジン音を響かせながらノロノロと走っていたトラクターは、前方バンパーにダイコンがぶら下げられ、車体横にはタマネギがつるされている。

 プラダの前を通過したところで赤信号になり停止。横から銀色のポルシェが追い越していく。その瞬間、プラダとポルシェとトラクターが並ぶという奇跡のミスマッチが実現した。

 信号が変わって一気に飛び出していったポルシェの後方を、ゆっくりと表参道方向に向かって走り出す。すると、その後方から隊列をなした仲間たちがやってきた。

約3200人のデモ行進

 この日、都内を走行したトラクターは約30台。関東地区の農家が所有する「愛車」が隊列を組んで、青山公園を出発。広尾、恵比寿や渋谷を行進した。それぞれが「令和の百姓一揆」の幟を掲げ、マイクで「日本の農と食を守ろう!」と訴えながらの行進だった。

 これは山形でコメ農家を営む菅野芳秀さん(75)が呼びかけ人となった「令和の百姓一揆」の抗議活動。トラクターだけでなく、約3200人の人々が農家への所得補償などを求めてデモ行進を行ったのである。

「一揆といっても、これは“打ちこわし”とは違います。稲作農家の所得を時給換算するとわずか10円です。1日8時間働いて80円にしかならない。このままでは後継者が現れず、村から農家が消え、作物が消え、消費者に農産物が届けられなくなってしまう。多くの方に農業の置かれた現状を知ってもらうための運動です」(菅野さん)

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