「アプリを使いこなす」ことが“スクールカースト”を左右する…1日「5時間」をネトゲと動画視聴に費やす「子供たちのネット汚染」の実状

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“スマホ脳”の懸念

 30代前半の親となると50代や60代になる。彼らはネットがない時代のほうがなじみ深い。一方、今の小学生の親はデジタルネイティブ世代も珍しくない。両親が共にネットを使いこなしているため、子供が幼い時から「こんな面白い動画があるよ」と教えることも珍しくない。

「一部の親は『おもちゃはケガをする可能性があるが、ネットならケガはしない』と判断し、積極的にネットを使わせています。そうした親の方針には賛否両論があると思いますが、やはり“スマホ脳”の悪影響が懸念されるのは事実でしょう。幼少期からデジタルデバイスに長時間触れていると、記憶力、集中力、学力が低下し、睡眠障害や深刻なネット依存の原因となることがあります」(同・井上氏)

 子供が異常なほど何かに熱中するというのは別に珍しいことではない。昭和の小学生もバラエティ番組の「8時だヨ!全員集合」やコミック雑誌「週刊少年ジャンプ」に“依存”したと言えるかもしれない。だが、どちらも週一回の頻度だったのは大きい。1日に7時間でも8時間でもアクセスできるネットとは根本的に違う。

 こども家庭庁の調査結果で井上氏が注目するのが「子供のインターネット利用に関する保護者の取組」という部分だ。

エスカレートするネット利用

「NTTドコモのモバイル社会研究所の調査でも似た傾向が浮かび上がりましたが、2歳から9歳の子を持つ親で『子供のネット利用を管理している』と回答した割合は96・2%に達しました。ところが、『対象年齢にあったサービスやアプリを使わせている』との回答は45・8%、『フィルタリングを使っている』の回答は18・9%に過ぎません。中学生や高校生の親の回答もほぼ同じ傾向です。要するに親は自分勝手な尺度で『管理している』と自己判断しているわけですが、実情は放置に等しいというケースは珍しくないのです。そして率直に言って、学歴や年収が高い保護者は子供のネット利用に抑制的な姿勢を示し、学歴や年収の低い親は自由にネットを使わせる傾向が認められるのは事実です」(同・井上氏)

 都市部では中学受験の加熱が懸念されている。小学6年生ともなると塾に通いながら、さらに自宅で平日に数時間、休日には10時間も勉強する。その是非はともかくとして、これだけ勉強させられると、少なくともネット依存の心配だけはないだろう。

「小学校の低学年で動画の視聴が当たり前になると、高学年では動画を投稿する子供が増えていきます。この際、最も問題なのが動画の内容が次第に過激になっていくことです。具体的には男の子だと体を張ったチャレンジ系の動画を作成する傾向があり、大ケガの危険性があります。女の子の場合はダンス系動画の投稿などで肌の露出が増え、性的なコンテンツとして悪用されてしまう懸念があります。子供が適切にネットを利用しているか、やはり親は目を光らせる必要があるのです」(同・井上氏)

デイリー新潮編集部

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