「アプリを使いこなす」ことが“スクールカースト”を左右する…1日「5時間」をネトゲと動画視聴に費やす「子供たちのネット汚染」の実状
ネトゲに夢中の小学1年生
ネットの利用目的として「動画を見る」の回答は1歳から17歳まで、ほぼ9割に達している。正確に言えば1歳が100%、10歳が88・4%で、他は全て90%を超えた。
一方「ゲームをする」の回答は、1歳と2歳が9・3%。5歳で57・1%と過半数を超え、小学校に入学した7歳は77・0%、10歳は84・3%、12歳だと88・8%に達した。つまり10歳から自分専用のスマホを使ってネットゲームに興じる子供が過半数を超えるということになる。
都内にある小学生の放課後施設に勤務する職員は「小学1年生でもネトゲが大好きという子供は決して珍しくありません」と言う。
「夕方に保護者の方が、小1のお子さんを迎えに来られました。何か二人で話していると、いきなりお子さんが号泣してしまったんです。手が付けられないほど泣くので保護者の方に事情を聞くと、小学生向けのオンラインゲームというものがあり、そのお子さんは帰宅したらプレーするのが日課で、何よりも楽しみにしているそうなんです。ところが、その日は家族で外食する必要があり、施設から飲食店に直行する予定でした。それを朝、伝えるのを忘れてしまい、放課後施設で説明したため、お子さんが号泣してしまったというんです」
スクールカーストとネット
小1の子供は、帰宅してネトゲで遊ぶことを楽しみにしていたのだろう。ところが保護者から突然、「今から家族みんなでご飯を食べに行くから、スマホでゲームはできない」と言われ、あまりにも悲しくて泣き出してしまったのだ。
「小学校高学年ともなると自分専用のスマホを持ち、ネットを長い時間使うのは以前からニュースなどで知っていました。しかし、この仕事を始めてから、低学年でも相当な数の子供たちがネットに依存していると認識するようになりました。さらに小学生でも『スクールカースト』が存在し、運動や勉強、容姿やキャラクターなどで序列が決まるのですが、心配なのがカーストの判断基準に『ネットにどれだけ詳しいか』、『どんなアプリを使いこなせるか』が加わりつつある点です。カーストが小学生のネット依存に拍車をかけているように思えるのです」(同・職員)
ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「デジタルネイティブという言葉の定義を、改めて考え直す必要があるのではないでしょうか」と言う。
「さまざまな定義があるとはいえ、基本は『1990年代生まれ以降』が一般的です。Windows95の発売などが念頭にあり、30代前半から下の世代という位置づけになります。そのため現在の小中高生は“デジタルネイティブ2世”にあたると言えるでしょう。しかし2005年にYouTubeが誕生し、2008年に世界初のAndroid携帯が発表、同じ年にiPhoneの日本販売がスタートしたことを考えると、今の子供たちこそが本物のデジタルネイティブではないかと思うのです」
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