「佐々木朗希」の制球難が深刻…2000年以降MLBでワースト2位 ロッテ時代に見せていた“危険な兆候”とは
カブスとの東京シリーズで2連勝の好発進を決めたドジャース。本土アメリカに戻った後も投打ががっちりとかみ合い、好調を維持している。そんなドジャースにおいて、数少ない不安材料の一つがルーキー佐々木朗希の投球内容だろう。デビュー登板となった東京シリーズ第2戦は何とか3回を1失点で切り抜けたが、現地時間3月29日(日本時間30日)のタイガース戦は1回2/3を投げて2失点。負傷による降板を除けば、プロ入り後の最短KOを食らってしまった。
【八木遊/スポーツライター】
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本拠地デビュー戦は2回持たずKO
メジャーで2試合を投げ終えて3失点の佐々木。5.79の防御率だけを見れば、それほど深刻とはいいきれない。ただわずか4回2/3で9個もの四球を与えていることは憂慮すべき事案だ。
ストライク率はデビュー戦の44.6%から2戦目は52.5%に改善したものの、スプリットの制球にてこずっていた点は変わらなかった。むしろタイガース戦では、投げた瞬間にボールと分かる荒れ球が目立ち、初回だけで41球を要する最悪の立ち上がりだった。
その後は1回裏に味方打線が1点を援護してくれたものの、2回表は制球がさらに悪化。打者5人に対して2つの四球を与え、さらに暴投も1つ記録した。
結局、本拠地ドジャーススタジアムでのデビュー戦は2回持たずにノックアウト。自身の投球に対する不甲斐なさからか、降板後はベンチ内で目を赤くする佐々木の姿も見られた。
メジャーで露呈した佐々木の制球難だが、ロッテ時代はそれほど苦しんでいた印象はない。一軍でプレーした21~24年のシーズンごとの与四球率を見ると、1.60から2.59の間に収まっており、通算でも2.01。むしろ制球力は平均以上の投手だったといえるだろう。
LA地元紙は「ストライクゾーンは狭くなっている」と論評
ではなぜ、佐々木は今季、別人のような制球難に陥っているのか。複数の要因が絡まり合っていると思われるが、やはりNPBの公式球に比べて、滑りやすいといわれるMLB公式球への対応に苦労している点が大きいのではないか。
それ以外にもピッチクロックへの対応や、マウンドの傾斜や硬さの違い、南カリフォルニア特有の気候などにも戸惑う部分は少なからずあったはずだ。
タイガース戦の2回途中KOを受け、佐々木自身は「シンプルに技術不足かなと思います」と冷静に振り返り、ロバーツ監督も「当初から言っているように、これはプロセスだ。彼はメジャーリーグを初めて経験する若い選手で、これから調子を上げていくだろう」と前を向いている。
ただ、佐々木の2度の“炎上”を受け、ロサンゼルス地元紙は「佐々木朗希が(野球人生で)初めての失敗を経験」(ロサンゼルスタイムズ紙=電子版)、「これまでのところ、この若い右投手にとって、メジャーの舞台が大きすぎる一方で、ストライクゾーンは狭くなっている」(ロサンゼルスデイリーニュース紙=電子版)など不安要素を大々的に報じている。
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