「万葉集」は写実的で「百人一首」は観念的?――アイルランド人翻訳家を悩ませた「女性天皇」の名歌
「百人一首」には8人の天皇の歌が選ばれており、そのうち唯一の女性天皇の歌が、持統天皇の下記の歌である。
【歌】
春過ぎて夏来にけらし白妙(しろたへ)の 衣干すてふ天の香具山
【現代語訳】
いつの間にか春が過ぎて夏が来たらしい。夏が来ると真っ白な衣を干すという天の香具山を見ていると。
アイルランド出身の詩人で、「百人一首」の英訳で複数の翻訳賞を受賞したピーター・J・マクミランさんは、この歌を下記のように訳している。
【英訳】
Spring has passed,
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