「怒りを覚えた」トランプ氏がロシア産原油を巡る「関税宣言」 鼻っ柱を折られたプーチン氏は停戦を受け入れるか
堅調な国内経済が支えるロシアの強気
米国の情報機関を統括する国家情報長官室は3月25日、世界の脅威を評価した年次報告書を公表した。
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その中で、プーチン大統領に代わる指導者が現れる可能性は「彼の四半期にわたる統治のどの時期よりも低い」と指摘し、現在最も強固な権力基盤を築いていると評価した。
ウクライナとの紛争については、「過去1年で優位に立ち、自国の主張が認められる形で戦争を終わらせようとしている」とした上で、現時点で満足のいかない譲歩よりも戦争の長期化の方がリスクは小さいと見ていると分析した。
ロシアが強気の姿勢を崩さない背景には、堅調な国内経済がある。
ロシア連邦統計局は3月7日、2024年の国内生産(GDP、速報値)は2023年比で4.1%増加した。2年連続のプラス成長となった要因には、ウクライナ侵攻に伴う軍需などがある。なかでも製造業は、軍需関連の化学や機械、冶金などが活況を呈したことで、前年比8.5%増となった。また、非製造業では小売りなどが堅調な伸びを示した。
武器はあるが兵士は不足
堅調な経済に支えられて、ロシアの武器製造能力は大幅に拡大している。ベロウゾフ国防相は、2024年は2022年より戦車の供給が7倍、無人機(ドローン)が20倍以上に増加したと成果を強調した。
さらに政府は、ウクライナ侵攻に対する国際的な制裁を受けながらも経済は好調と自賛しているが、死傷数の拡大は頭の痛い問題だ。
メドべージェフ安全保障会議副議長は、昨年に契約した志願兵は約45万人とした上で、今年も同水準を維持としたが、各地では志願兵の契約一時金を大幅に増やす動きが相次ぐなど、現場の苦労は募るばかりだ。
人手不足などのせいで、ロシアの2月のインフレ率は前年比10.1%増となり、ロシア中央銀行が目標とする4.0%を大きく上回っている。
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