「統一教会が問題になった際、自民党は逃げたから…」 自民の“岩盤保守”が崩れつつある理由とは

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「岩盤保守の一部は宗教団体」

【前後編の後編/前編からの続き】

 商品券問題の陰で注目を集めているのが、杉田水脈(みお)元衆院議員(57)の参院選比例代表への擁立決定だ。なぜ、石破茂首相(68)は思想信条的に相容れないだろう彼女を公認せねばならなかったのか。そこには安倍政権を支えた“岩盤保守”の存在が見え隠れする。

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 前編【「“違和感がある”ならなぜ公認したのか」 石破首相が杉田水脈を切れない理由を現役議員が明かす】では、石破首相が「違和感は持っている」と語りながらも杉田氏の公認を取り消さない理由について、専門家や現役議員の解説を紹介した。

 安倍晋三元首相と近しかった議員が打ち明けるには、

「岩盤保守の一部を形成してきたのは神社本庁関係をはじめ、崇教真光(まひかり)、霊友会などの宗教団体ですよ。安倍さんはそうした友好団体を大事にした。彼らにあいさつする時、必ず“伝統的な家族のかたちがわれわれの力になっています”“英霊に対して尊崇の念がある”というように、関係者の琴線に触れるフレーズを口にしてね。“安倍さんもわれわれと同じ気持ちなんだ”と思ってもらうのが上手でした」

 元産経新聞政治部長の石橋文登氏は、

「安倍さんは普段から“岩の3割こそが自民党の宝だ”と語っていました。実際、安倍さんは右から3割をしっかり固めていたので、あのモリカケ問題で一番たたかれた時ですら支持率はほぼ30%を切りませんでした」

 そう振り返るのだが、しかし、その安倍政権下では決して離反しなかった岩盤保守が今では崩壊しつつあるという。

「統一教会が問題になった際、自民党は逃げたから……」

 石破おろしの急先鋒で、今夏改選を迎える西田昌司参院議員が、

「(岸田政権下の2023年6月、)LGBT理解増進法が成立しましたが、あの頃から保守的な支持者が離れてしまった感覚はあります」

 と言えば、前出の議員も、

「統一教会が問題になった際、自民党は逃げたじゃないですか。あれを見て、一部の宗教団体はわれわれに不信感を募らせています」

 もっとも、

「“右から3割の岩盤保守”といっても、実際に保守的なイデオロギーを優先して投票行動を選択していた人はかなり少ない。1割弱でしょう。イデオロギーを優先していたのは、今、日本保守党に流れているような方々だけです」

 とは、JX通信社代表取締役の米重克洋氏だ。

「それよりもボリュームとして多いのは経済を重視する人たちでした。安倍さんはアベノミクスという象徴的な旗を掲げた。それが第1次政権と第2次政権の大きな違いだと思いますし、そこに有権者の支持が集まったのでは」(同)

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