セクハラ・パワハラ認定のフジ反町理キャスター、日枝氏から寵愛受け“やりたい放題”だった
日枝色が濃厚
大野氏と同い年ながら、対象的なのがBSフジの報道番組「プライムニュース」(月~金曜午後8時)の反町理キャスター(60)。日枝氏は2009年に始まったこの番組が一番のお気に入りだった。
番組が成功を収めたこともあり、反町氏は日枝氏の寵愛を受ける。取締役の平均年齢が65歳を軽く超えていた2021年、57歳で取締役に就いた。同年には報道局解説委員長にも就いた。
一方で社内には「日枝氏のお気に入りだからハラスメント行為を働いてもお咎めがない」と怨嗟の声が渦巻いていた。
だが、第3者委は見過ごさなかった。反町氏の女性社員2人に対する行為はセクハラ、パワハラに該当しうると認定した。
反町氏は政治部の中堅幹部だった2006年ごろ、後輩の女性社員を何度も1対1の食事などに誘った。
あるとき、女性社員が休日のドライブの誘いに応じたところ、神奈川三浦市三崎にマグロを食べたあと、花火を見せられ、さらに横浜でホラー映画の観賞に付き合わされた。これで終わらず、バーに伴わされ、女性社員は丸1日拘束された。
その後、女性社員が誘いを断るようになると、反町氏は電話で怒鳴るようになる。威圧的な口調で話すこともあった。
2007年から2008年ごろには別の後輩女性社員をやはり食事に誘う。さらに休日に「今、何しているのか写メを送れ」などとメールも送ってくるようになった。
女性社員が断ったところ、この女性社員の原稿が遅いなどと不当に叱るメールを政治部内に一斉に送信した。
深刻なのはそれから。2018年、一部週刊誌が反町氏のパワハラ、セクハラについて報じると、フジ企業広報部は「事実誤認に基づく内容が多い記事であり、法的措置を含めて対応を検討しております」と声明。その後、法的措置は講じられていない。
第3者委は「女性社員の心情を無視して対外的に事実関係を否定する声明を出すことによって、ハラスメント行為自体を隠蔽し、解決を図ろうとする組織的な体質の表れであるといえる」と指摘した。
昨年12月、「週刊文春」などの報道によって中居氏の性暴力が浮き彫りになったときもそう。フジは調査を尽くす前に早々と会社と社員の関与を否定。報道への法的措置の可能性を表明した。
問題が報じられたら、さして調べぬうちに否定。そして法的措置を臭わせることが、フジの組織防衛術と化していたようだ。
一方で反町氏はここ数年、番組内での態度もキャスターらしからぬという声がフジ内に複数あった。「プライムニュース」はゲストとして政治家を頻繁に招くが、フジ関係者は「大物と中堅では態度が明らかに違う。大物にはへつらい、中堅には不遜に見えて仕方がない」と酷評していた。
反町氏は3月27日付で取締役を退任。「日枝色が強いし、会社側は第3者委が彼のセクハラなどを問題視していることを察知していた」(フジ関係者)からだった。
3月31日放送の「プライムニュース」は休んだ。「出たらスポンサーたちが黙っていない。このまま降板になる」(フジ関係者)
次に動向が注目されるのは関西テレビの大多亮社長。第3社委から港氏、当時の編成制作局長とともに判断の誤りを厳しく指摘された。
大多氏は第3者委の報告が発表されたあと、「被害に遭われた女性には、寄り添うことができず、心よりお詫び申し上げます」などとコメントした。
一方で港氏が引責辞任し、当時の編成制作局長も3月27日付で編成制作局付に退いたにもかかわらず、太多氏はペナルティを受けていない。
1980年代後半から1990年代にかけてトレンディドラマなどを当てた大多氏も日枝氏の秘蔵っ子。昨年6月に関テレ社長となったが、フジ内では「日枝氏がいずれ社長としてフジに戻す」という見方が少なくなかった。
だが、1月27日の10時間会見後は立場が一転。「本来、大多氏も会見場にいるべきだった」(フジ関係者)。厳しい声が上がった。
大多氏の次回の関テレ社長会見に注目が集まりそうだ。
また、第3者委が明かした日枝氏の収入の高さにはフジのベテラン社員たちも驚いた。
3月27日まで取締役相談役だった日枝氏は、フジ系列局6社を含む計14社の取締役だった。それにより、多くの年で年間報酬額の合計がフジテレビとフジ・メディア・ホールディングスの会長、社長を上回っていた。
フジの社長の年間報酬は8000万円程度なので、日枝氏は約1億円前後と見られる。
「フジに居座っているのは日枝氏なりに会社を思ってのことだと考えていたが、報酬のためでもあったのか……」(フジ関係者)
一方、中居氏は性暴力から1年2カ月後の昨年8月に元女性アナが依願退職したことをショートメールで知らされると、「了解、ありがとう。ひと段落ついた感じかな。色々たすかったよ。」と返信した。メールの送り主は中居と元女性アナの関係を近づけようとしていたフジ編成部長(当時)である。
部長は中居氏にもう1度メールした。
「ひと段落かなと思います。引き続き、何かお役に立てることがあれば、動きます!」
傷ついて会社を去る後輩より、視聴率の獲れるタレントを優先させた。
第3者委は関係者の人間性まで浮き彫りにしたようだ。
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