パワハラ・経費不正で失脚…テレ朝「ナスD」が唯一無二の「ヒットメーカー」になれたワケ

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担当番組は打ち切りに

 3月19日、テレビ朝日のエグゼクティブディレクターが経費の不適切使用と関係者へのパワハラで懲戒処分を受けたことが発表された。当該社員の担当番組である「ナスD大冒険TV」は打ち切られることになった。

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 テレビ朝日は社員の名前を公表していないが、その人物は「ナスD」の異名で知られる友寄隆英氏であると複数のメディアが報じている。友寄氏は裏方として番組制作をするだけではなく、自身の手がける番組に出演する機会も多い有名人だった。そんな彼が不正行為に手を染めていたことに驚いている人も多いようだ。

 彼が知名度を上げるきっかけになったのは2017年に始まった「陸海空 こんな時間に地球征服するなんて」という番組の「部族アース」という企画だった。

 U字工事の2人と共にアマゾンの奥地で少数部族の取材を続けていた彼は、いつの間にか主役であるはずの芸人以上の存在感を発揮し始めた。取材現場で危険をかえりみず、何にでも果敢に挑戦していった。現地民ですら食べないような、熟する前の果実や捕れたばかりの生魚も迷わず口に放り込む。彼の行動は取材という枠を越えた暴走にしか見えないのだが、それが予測不能でスリリングな面白さを生み出していた。

 極めつけは、彼がナスDと呼ばれるきっかけになった大事件である。ウィトという果実に美容効果があるという話を耳にした彼は、それを顔面や体中に塗りたくった。

 ところが、彼が果実の絞り汁を全身に塗る様子を見て、現地の人たちはあきれたような苦笑いを浮かべた。なぜなら、使い方が根本的に間違っていたからだ。ウィトは入れ墨に使われるほどの強力な染料であり、肌に塗ったら最後、どんなに洗っても色が落ちなくなってしまうのだという。

 2時間後には友寄氏の全身は真っ黒に染まっていた。「完全にゾンビやん」と自分でもあきれるしかない状況。いくら水洗いしてもその色は落ちなかった。そこからナスDと呼ばれるようになり、彼の快進撃が始まった。

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