東大合格に「鉄緑会」は必要なのか 合格者ランキングで“異変” 保護者からも疑問の声

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マイペース型の生徒はキツイ

 塾側が生徒を“指定校制”で選ぶとは本末転倒のようにも見えるが、それでも“鉄緑会神話”は根強い。それは「難関中高一貫校→鉄緑会→東大」という鉄板ルートが長年維持されてきたためだ。

「中学受験の難関校である男子御三家の開成、麻布や筑駒、女子御三家の桜蔭、女子学院、雙葉や豊島岡女子学園では、2月の入学試験会場前に鉄緑会の講師らが集まります。そこで、試験を終えたばかりの児童と保護者に入会パンフレットを熱心に配るなど“リクルート”に余念がありません。

 そのパンフレットを配っている講師のほとんどが、その中学を卒業して東大や慶応医学部に進学した秀才ばかり。つまり中高の先輩が鉄緑会で教えているというので親近感がわくのだそうです。反対に大学生のバイト講師が多いので怒ってやめる生徒もいますね」(同)

 ただ、大学生バイトといってもクオリティーには気を配っているようだ。ある東大生は「私が鉄緑会のバイト講師に応募した際、7人中1人しか採用されませんでした。東大生なら誰でも鉄緑会の講師になれるとは限りません」と打ち明ける。

 また別の東大生は「私も鉄緑会に通っていましたが、課題が多いので学校の勉強をこなしたうえで、さらに勉強をガツガツやるガッツがある人には向いています。逆にマイペース型の生徒はキツイのでは」と話す。

 東大自身、多様な学生を集めるため学校推薦型入試を2016年から実施し成果をあげている。私立中高一貫校から鉄緑会を経て東大進学という似たような経歴の持ち主を減らすために、二次試験を昨年より易しくした結果、鉄緑会通塾率低めの学校や非指定校が躍進した、との指摘もある。ただ、先ほど述べたように鉄緑会のブランド価値は簡単には揺らがないだろう。

 東大関係者が入試についてこう話す。

「大量の東大合格者数を毎年輩出している開成や麻布、桜蔭、筑駒あたりは受験指導を徹底しているわけではなく、基本的に生徒の学習意欲に任せています。そうなると生徒は東大受験情報が集まる鉄緑会に通わざるを得ません。それに比べ、聖光や洗足は校内の勉強で完結するよう熱心な受験指導をしています。近年、東大入試の二次試験は基本的に二度読みする時間がないほどスピード重視で、かつ考える力を試す問題が増えています。暗記一辺倒では通用しないのがこれからの傾向となるでしょう」

 東大合格への道のりは今後、一気に多様化していくかもしれない。

デイリー新潮編集部

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