東大合格に「鉄緑会」は必要なのか 合格者ランキングで“異変” 保護者からも疑問の声

ライフ

  • ブックマーク

合格ベスト10を分析

 東大の高校別合格者数ランキングがほぼ出そろった。2025年のベスト10を見ると、2位の筑波大学附属駒場は昨年の90人から117人、4位の麻布は同じく55人から82人、5位の都立日比谷は60人から81人、7位の渋谷教育学園幕張は64人から74人、8位の神奈川県立横浜翠嵐は44人から74人、9位の栄光学園(神奈川)は47人から55人。以下、11位の浅野(神奈川)は45人から51人、12位の渋谷学園渋谷は43人から50人と増加した。今回の結果からはある傾向が浮かび上がるという。(数字は速報値)

 ***

 大手予備校講師がこう指摘する。

「鉄緑会への通塾率がそれほど高くない学校が東大合格者数を増やしています。7位の渋谷学園幕張と12位の渋谷学園渋谷は1位の開成の3分の1ほど。神奈川の栄光は100人以下です。一方、鉄緑会に900人の生徒が通う国内最強女子校の桜蔭は昨年の63人から52人へと減ってしまいました。

 13位の海城は500人の生徒が鉄緑会に通っていますが、昨年と同じ49人と伸び悩みました。夕方になると桜蔭の生徒が最寄り駅のJR水道橋駅から、代々木駅まで一斉に移動するのですが、学校が終わってすぐに鉄緑会で再び勉強というのが進学校の定番コースとなっています」

 鉄緑会とは、中高6年一貫校の生徒を対象とした東京大学受験指導専門塾で、東京・代々木に本拠地を置いている。原則として東大進学有名校に通う学生だけを指定校生徒として受け入れており、内部では学力別のクラス編成をしている。

 ホームページで学校別在籍生徒数を公表しており、1位開成1118名、2位桜蔭900名、3位筑大駒場598名、4位麻布537名、5位海城501名と超難関校がズラリと並ぶ。そんな中、下位にある渋谷幕張は298名、渋教渋谷278名と少なく、神奈川の超難関の聖光学院は99名、栄光学園は98名と上位に比べれば、かなり少ない人数だ(2025年1月現在)。

「鉄緑会通塾率が高い学校は合格者数が伸び悩み、聖光や日比谷、渋幕、渋渋など通塾率の低い学校が伸びているため、保護者の間では『子どもを鉄緑会に通わせる必要はあるのか』といった声が上がっています。ここぞとばかりにライバル予備校幹部からは『東大の二次試験用に難問ばかり解かせる鉄緑会のやり方はもう時代と合わない』といった見解も出ています。特に今年は、鉄緑会の非指定校である神奈川の男子校・浅野が昨年比6人増、同じく女子校・洗足学園も昨年の15人から一気に28人に急増したため、かえって鉄緑会の存在価値に注目が集まっているというわけです」(前出の予備校講師)

次ページ:マイペース型の生徒はキツイ

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。