尾崎亜美、14歳の観月ありさに提供した難曲や、薬師丸ひろ子が歌う“謎の歌詞”を解説 「“1回で覚えられない曲を作ってほしい”と言われて……」
失恋バラード「蒼夜曲(セレナーデ)」はミュージシャンから高評価
Spotify第12位には、尾崎のライブで歌われることが多いというドラマティックな失恋バラード「蒼夜曲(セレナーデ)」がランクイン。こちらは、当時オリコンTOP100にも入っていない“隠れ名曲”だが、他の尾崎の注目作のように海外リスナーの比率が高いわけでもなく(全体の2割程度)、日本で徐々に支持されてきたようだ。そのことを尾崎に尋ねると、
「この曲は、ピアノだけで歌うことが多いのですが、ライブで育てていただいた感じですね。評判が良いので何バージョンか出しています。なかでもデヴィッド・フォスターがプロデュースしたアルバム『HOT BABY』のアメリカ録音版が人気みたいです。シングルとはまったく異なる雰囲気ですが、日本のロック・ミュージシャンの方々が、音楽のお手本として聴いてくださっているようなんです。私のライブでギターをやってくれる是永巧一なんかは、“俺、蒼夜曲の演奏、全部頭に入っていますから”って言うくらい。一般の方でも、ミュージシャン志向のある方はわりと好きなんじゃないかしら。ファン投票でも、必ず1位か2位に入る作品です。今後も、歌っていくので、ますます人気が伸びるかもしれませんね」
なお、Spotify第33位には、尾崎本人もほとんど歌ったことがないというシングルB面曲「My Shiny Town」がランクイン。この曲は大ヒットではないものの、テレビ・ラジオ放送局「KBS京都」のイメージソングとして、番組の合間などでしょっちゅう流れていたのだ。だから京都や滋賀出身の40代以上なら、タイトルは知らなくても、♪We love! この街には. Shiny town! 魔法使い きっと いるわ 誰もかれも 心の中 世界一の主人公になれ~♪、というポップな歌詞を口ずさめるのではないだろうか。
「これは私の中でもウルトラ・ポジティプな歌詞ですね。京都っていうと、悲しい女性の歌が多かったから、そうじゃないのを書きたかったんだと思います。この曲と、’94年に書いた『風のNative Land』は、京都の河原町三条にあるBALというファッションビルのあたりをイメージして書きました。確かに、京都に帰った時、“なんかラジオから可愛い声が流れてるな……って、自分の歌やん!”と思ったことはありますが(笑)、ライブでちゃんと歌ったことはなかったんです。そういう曲もサブスクで人気だなんて、意外ですね」
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