“紀州のドンファン”妻の元代理人「イケメン弁護士」が弁護士会から懲戒処分を受けていた「弁護士としての品位を失うべき非行」とは?
「月9出演」をチラつかせた佐藤弁護士
懲戒委員会がもう一つ問題視したのは、弁護団が裁判中、A子さんと同時期に愛の葉Girlsに所属していたB子さんから有利な証拠を得ようとした際に行った「説得工作」である。
元々B子さんは裁判に巻き込まれたくない考えだったが、佐々木氏から愛の葉Girlsを引き継いだ事務所社長に強く要請されて弁護団の事情聴取に協力することになった。その内容を佐藤氏らは陳述書としてまとめ、署名・押印するよう依頼したのだが、B子さんは拒否。その際、佐藤氏らは翻意させようと、次のように口説いた。
佐藤氏 「僕たちはずっと裁判にというのに関わってきているので、9年以上、陳述書を出して不利益になった人って見たことないですし、デメリットって特にあるものではないんですよ」
佐藤氏 「じゃあ、リターンがあるならと具体的に言う人もいるんですよ。先生が守ってくれるんだったらとか、先生がリターンをくれるならとか。リターンってお金じゃないよ。お金は渡せないからね。それはやっちゃいけない話なんで」
佐藤氏 「その代わり、将来に対する道筋作って行きますよとか、その代わりグループ含めてB子さんの今後の活躍と言うのをできるだけサポート、リーダーはともかく私としてはやれるよと言う話をして行ったり。実際それで『月9』は動いているし、ほかの東京の僕が関わっている芸能事務所の提携の話っていうのは進めているし、山本裕典君とか、いろんな俳優さんいるので」
「月9」とはフジテレビのドラマ枠のことだ。芸能界人脈を持つ佐藤氏は月9出演などの“メリット”を提示しながら、B子さんから陳述書を得ようとしたのである。
望月氏は佐藤氏に加勢して次のように発言した。
望月氏 「きちんと損得判断してくっていうことだと思いますよ。サインすることが得だと思うからこそするべきであって、得にならないと思うんだったらやめた方がいい。でも、ちゃんと得を提供しますから」
佐藤弁護士から送られてきた「反論」
結局、B子さんは署名・押印に応じなかった。しかし、弁護団は陳述書にしようとしていた文章をそのまま「聴取報告書」という名に変え、B子さんに黙って裁判所に提出。怒ったB子さんとトラブルになったのである。
この説得工作についても懲戒委員会は次のように厳しく非難した。
〈メリットを提示して陳述書への署名・押印を求める方法自体が明らかに不適切というべき〉
〈結果としてB子は署名・押印に応じなかったことを考慮しても、弁護士の証拠収集活動としては非難されるべきものであり、弁護士としての品位を失うべき非行と評価せざるを得ない〉
なお弁護団とB子さんのトラブルについての詳細は、関連記事【「農業アイドル自殺訴訟」で場外乱闘 タレント弁護士がちらつかせた“月9出演”話】にまとめてある。
「デイリー新潮」が佐藤、望月両氏に今回の懲戒処分についてどう受け止めているかコメントを求めたところ、望月氏は「不当な処分であり、争うつもりです」と回答。
佐藤氏からは下記の文章が送られてきた。
〈エンターテインメント分野における児童を含む未成年者の働き手は、労働者として保護すべきであり、本件における労働者性を否定した判決については、年少者保護規制等の観点を含めて、学者や実務家から様々な批判を受けている(参照)https://era-japan.org/archives/911)。
昨年、国連人権理事会の作業部会の報告書においても「アイドル業界においても、作業部会は若いタレントがプロデューサー、広告主、およびエージェントのすべての厳しい要求に従うことを義務付ける契約に強制的にサインさせられ、遵守しなかった場合には高額な罰金が課されるという状況を聞きました。」等とアイドル業界における深刻な問題について指摘を受けたこと、また昨年末には、公正取引委員会が「音楽・放送番組等の分野の実演家と芸能事務所との取引等に関する実態調査報告書」を公表し、同報告書では、芸能事務所は実演家に対して優越的地位に立つ蓋然性が高いとし、芸能事務所の言動をも問題視したこと等を踏まえて、今後も引き続き、我が弁護士人生の全てを賭けて、様々な圧力に屈することなく、我が国のエンターテインメント分野における人権問題を解決するために尽力しつつ、エンターテインメント業界の実演家の働く環境、取引条件等の是正に全力で取り組んでまいりたい〉
後編【「16歳のアイドルを自殺に追い込んだパワハラ社長」という“ウソ”を弁護士に流布された男性の「せめてもの願い」】では、今なお報道被害に苦しむ佐々木氏のインタビューを掲載している。