「東京はアジアのセックス観光の首都」 中国人訪日客の増加でエイズ患者が急増? 「風俗店ツアーも流行」

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心配なのは「風俗より立ちんぼ」

 日本でのエイズ感染ルートについて、「来日した中国人から日本人に感染するケースとして心配なのは、風俗よりもむしろ素人の立ちんぼのほうです」と言うのは、前出の奥窪氏だ。

 日本の一般的な風俗店は性病に注意して定期的に検査を行うので、むしろ感染リスクは少ないが、勤務時間などに制約がある。そうした制約を嫌って、新宿・歌舞伎町の大久保公園などには、自由に相手を選んで接客できる立ちんぼが増加しているため、素人同士の出会いによる感染リスクが高まっているのだ。

 奥窪氏によれば、

「売れっ子は外国人を嫌うけれども、そうでない子は中国人を含め外国人OKの子もいる。また、大久保公園の取り締まりが厳しくなってからは、SNSや出会い系サイトで相手を探すケースが増えています」

 訪日して遊びたい中国人も、同じ要領で相手を見つけているようだ。

「今の若い子はHIVに対して、怖い病気だというかつてのような意識が低く、警戒心が薄いですから、感染リスクもあると思います」(同)

梅毒感染者が過去最多を記録

 東京都保健医療局のホームページによると、23年に東京都に届け出のあった新規HIV陽性者は247件、新規エイズ発症者は55件の合わせて302件だ。8割は日本国籍の男性で、HIV陽性者は20代から30代、エイズ発症者は30代から50代が多い傾向にある。東京都はこれだけでも危機感をもち、西武新宿駅近くなどに検査相談窓口を開き、HIVと梅毒の匿名・無料検査を実施。年間約1万人が血液検査を受けている。

 こうした検査を通じて、日本では23年に梅毒感染者が過去最多の1万4906人を記録した。24年もほぼ変わらず、3年連続で1万人を超えている。男性は20代から40代を中心に、女性は20代を中心にして、感染者は増加傾向にある。

「国連合同エイズ計画」が警告するように、2050年にはHIV陽性者がアジア・太平洋地域でほぼ倍増する見込みだ。日本もインバウンドで外国人の訪日客が急増する中、エイズのまん延だけは、是が非でも食い止めなければならない。

譚 ろ美(たんろみ)
米国在住のノンフィクション作家。東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒、元慶應義塾大学文学部訪問教授。著書に『中国共産党を作った13人』『革命いまだ成らず』『帝都東京を中国革命で歩く』『中国「国恥地図」の謎を解く』など多数。

週刊新潮 2025年3月27日号掲載

特別読物「密かに『風俗店ツアー』が流行 中国人訪日客“急増”で日本人のエイズ患者が増えている?」より

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