「東京はアジアのセックス観光の首都」 中国人訪日客の増加でエイズ患者が急増? 「風俗店ツアーも流行」
患者が爆発的に増加するという見通しも
ここから中国はようやく重い腰を上げて本格的にHIV対策に乗り出した。とはいえ、急速に高齢化が進む中国では、今後も若年層と共に高齢者のHIV感染が増加の一途をたどる可能性がある。
それでは世界の趨勢はどうか。国連統計によると、23年現在、世界のHIV陽性者は約3990万人で、前年より約130万人が新たに感染している。
「国連合同エイズ計画(UNAIDS)」は、昨年7月、「今まさに緊急事態:岐路に立つエイズ」と題する報告書を発表。今すぐ世界の指導者たちが十分な資金を確保して行動しなければ、生涯にわたって支援を必要とする患者が2050年までに約4600万人に拡大するとの厳しい見通しを示した。今後エイズを減少できるか、あるいは爆発的に増加するかは各国政府の取り組む姿勢にあり、まさに今が正念場だといえるのだ。
ところが、米国のトランプ大統領は就任後、海外支援は税金の無駄遣いだとして、国連への拠出金を一時凍結したほか、米国の海外支援組織であるUSAIDを活動停止にした。もっともその後、国務省は救命のための人道支援「米大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)」は凍結の対象から除外すると表明した。しかし、米国の資金援助に頼るアフリカでは、エイズ対策の現場で大混乱が広がり、HIV陽性者たちの手元に届くはずの抗HIV治療薬があと2カ月分しかないという。もし今後、PEPFARの資金援助が正式に再承認されなかったり、安定的に継続されなければ、エイズ関連の死者は400%増加して630万人になると国連合同エイズ計画の報告書で指摘されている。
アジア・太平洋地域で倍増か
気がかりなのは、「今後、HIV陽性者が2050年にはほぼ倍増すると予想されるのは、アジア・太平洋地域」という指摘だ。日本の状況はどうなっているか。
厚生労働省エイズ動向委員会によれば、23年の新規HIV陽性者は669件、新規エイズ発症者は291件。世界的にみれば圧倒的に少ない数だが、新規HIV陽性者はこの年、6年ぶりに増加傾向に転じている。
ここで気になる情報がある。香港の「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」(電子版、24年11月17日付)は、「ようこそ東京へ:アジアの新しいセックス観光の首都?」という見出しで、日本にある風俗店巡りを目的とした「風俗店ツアー」が、外国人、とりわけ中国人の間でひそかに流行していると報じた。同紙によれば、「日本経済が好景気の時期は、貧しい国の女性が提供する禁じられた快楽のために日本男性が海外に出かけたが、今は状況が逆転した」「円安と日本の貧困増加によって外国人男性が東京に『セックス観光』に来ている」というのである。
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