「先生の解説を聞く」だけでは成績は伸びない…中学受験を勝ち抜くために必要な“たった2つの方法”

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 中学受験をするなら、塾に通うのは不可欠。いつからか、「中学受験」と「塾」はセットで捉えられるようになった。だが、塾に通えば必ず成績が上がって、志望校に合格できるわけではない。むしろ、塾の勉強が難しすぎて、苦しんでいる子どもたちは多い。自身も中学受験を経験し、現在は医学部専門予備校エースアカデミーの代表を務める高梨裕介氏が「中学受験で本当に必要な勉強」を解説する。(石渡真由美/ライター)
【前後編の後編】

難関塾の合格実績はもともと成績優秀な子に助けられている

 今年3月、中学受験生の親向けに『合格したいなら「中学受験の常識」を捨てよ』(日本能率協会マネジメントセンター)を上梓した高梨氏が言う。

「誤解しないでいただきたいのは、『中学受験に塾はいらない』と言っているのは、塾を批判したいからではありません。ただ、大事なお子さんを塾に通わせるのであれば、そもそも塾という場所はどのような構造で成り立っているのかを知っておく必要があると思います。残酷な話ですが、塾にとっていちばん大事なお客さまは、難関校に合格する力を持っている、ごく一部の成績優秀な子たちです。塾が授業で難しい問題を扱うのは、これらの優秀な子たちを難関校に合格させるため。こうした難関校に合格できそうな子を早い段階から囲い込み、その子たちが最後まで飽きないで楽しく通ってくれるようなカリキュラムを用意しているのです。

 自身の話で恐縮ですが、私は小学校2年生のときから、関西地方の最難関校、灘中学に多くの合格者を輩出している浜学園という塾に通っていました。幼い頃から教育熱心な母に勉強をさせられてきたというのもあり、自身も勉強は嫌いではなかったし、むしろ楽しいと思っていたので、成績もすこぶる良く、飛び級で常に上の学年の勉強をしていました。6年生になると、その頃にはもう灘中学の入試問題はだいぶ解けるようになっていましたし、正直塾から教えてもらうことなどない状態だったのです。

 では、何をしていたかというと、表向きのクラスとは別にある塾内の隠れた特別クラスで、同じように灘中合格の力を持っていた子たちとゲームで遊ぶような感覚で問題を解く練習をしていたのです。先生はそれを楽しそうに眺めているだけで、このゲームをやったからといって成績がさらに伸びるわけでもない。塾側は、灘中に合格できそうな子どもたちがこのまま最後まで飽きることなく塾に通ってもらい、合格実績を作ってくれるように、このような場所を作ったのだと思います。つまり、ただのエンタメ的な空間です」

頑張ったのに、残念な結果で終わる子どもたち

 しかし、自分の学力と合っていないカリキュラムをこなす生徒の場合、

「問題の難易度が高いため、ほとんどの子が理解できない状態のまま、カリキュラムが進んでいきます。そして、時間内に教えきれなかったものは、宿題にして、家でやって来るように言われます。しかし、授業で理解できなかった問題を家で解こうとしても、解けるはずがありません。多くの親御さんは『中学受験をするなら、難しい問題が解けるようにならなければいけない』と頑なに思い込んでいるので、なんとか理解させようとさらに家庭教師をつけようとしたり、何がなんでも宿題は終わらせなければいけないと監視をしたりといった行動に走ってしまう。それがうまくいかないと、子どもに対して厳しい言葉を投げ続けてしまうのです」

 その結果、「『たくさんの時間を使って勉強しているのに結果が出ない』『子どもを勉強嫌いにする』『子どもの自己肯定感を下げる』などといったマイナス面を増長させてしまう」のだと、高梨氏は強調する。つまり、自分の学力に合っていない上滑りな勉強を強いられてしまうというのが、最大の問題点なのだ。

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