「つらい五十肩は自分で治せる」 専門家が指南 「整形外科でやってはいけないコト」とは

ドクター新潮 ライフ

  • ブックマーク

 年を取ると多くの人が悩まされる五十肩(肩関節周囲炎)。やっかいなのは、ズキズキ痛んでも「そのうち治る」と軽く扱われることだ。治療法もさまざまだが、原因は「異常な血管」と指摘するのが奥野祐次医師である。自己診断法と自力での治し方を教えてくれた。

 ***

 少し前の話ですが、俳優の妻夫木聡さん(44)が「四十肩になった」と告白して、ネットでも話題になっていました。

 四十肩は五十肩とも呼ばれ、正確には「肩関節周囲炎」と言います。ここでは、「五十肩」と呼び名を統一させてもらいますが、日本の人口の2~5%がこの病気にかかると言われています。数でいうと200万~500万人で、年を取ってくるとかかる病気です。

 厄介なのは、一度、五十肩になると数カ月から数年痛みが続くこともあり、再発もする。だから実際にはもっと多くの方が五十肩に悩んでいると思われます。

 実際、私のクリニックに来られる患者さんでも五十肩に悩んでいる人が一番多く、全体の15%ぐらいでしょうか。五十肩になってみると分かりますが、ちょっと物を持っただけでギクッと激痛が走ったり、電車のつり革も持てなくなる。また、背中に手を回せなかったり、窓を開けるのも辛いなど、日常生活そのものがストレスになります。

 また、五十肩がひどくなると「夜間痛」といって、夜寝ているだけで痛みが出てきて眠れなくなってしまう。こうなると、日中もぼんやりして物事に集中できなくなり、痛いのが怖いから動き回ることもおっくうになってしまう。結果、筋力を衰えさせることになり、「老化」を早めてしまう原因にもなるわけです。

アメリカでは「オピオイド中毒」が社会問題に

 話が少しそれますが、五十肩は日本人だけがかかるわけではありません。同じ人間ですからアメリカ人も中国人も同じように五十肩になります。ところが、アメリカではクリニックで肩が痛いと訴えると、簡単に麻薬性の鎮痛剤を出される。これがきっかけになって、麻薬依存性になってしまう人が後を絶ちません。

 いわゆる「オピオイド中毒」というもので、関節炎は依存性患者を生む原因のトップです。深刻な社会問題にもなっており、社会の治安を揺るがす病気なのです(註・アメリカでは年間約4万人がオピオイド中毒で死亡しており、非常事態宣言が出されている)。

 私のクリニックは現在、全国に10カ所の拠点を持っていて、五十肩のほか、膝や腰などの関節炎や痛みを持つ患者さんを主に治療しています。治療法は、一般的な整形外科とは違うのですが、それについては後述します。

次ページ:湿布や痛み止めは「ごまかしているだけ」

前へ 1 2 3 4 5 次へ

[1/6ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。