アニメ・ポケモン「サトシ」卒業から2年 松本梨香が語る“海外オファー殺到”の現在と“晴明神社への歌奉納”
いまや日本を代表するコンテンツとなった「ポケットモンスター」のアニメ版で、主人公・サトシの声を26年もの長きに亘って務めた松本梨香。同作の初代オープニング曲「めざせポケモンマスター」を歌い、Wミリオンを記録したことでも知られている。2023年3月の放送をもってポケモンから離れた松本にその後をたずねると、「神社に歌を奉納しました」という驚きのエピソードが返ってきた。【華川富士也/ライター】
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増え続ける海外からのオファー
1997年4月の放送開始から26年間、一貫してサトシの声を担当したのが松本だ。本人にとって人生の半分近くをアニメ「ポケモン」と過ごしたことになるが、卒業からもう2年になる。仕事や生活にはどんな変化があったのだろうか。
「海外に行くことがすごく増えました。中国からドバイやブラジル、その他いろんな国の方からオファーをたくさんいただいています。以前からお声がけいただいていたんですが、『ポケモン』の収録が毎週必ずあるので、あまり受けられなかったんですね。例えばブラジルだと往復だけですごく時間がかかるから、着いたらすぐに帰国しなきゃいけなかった。でも今は時間が取れるようになったので、いろいろな国へ行けるんです」
マネージャーによれば「いつ国内の仕事を入れられるかわからないぐらい」海外からのオファーがあるという。松本はポケモンのほか「仮面ライダー龍騎」(2002年)の主題歌をシリーズ初の女性ボーカルとして担当し、最近まで「爆上戦隊ブンブンジャー」にブンドリオ・ブンデラスの声で出演、エンディング曲も歌唱していた。日本の特撮シリーズは海外でも人気が高いうえ、松本は2000年〜2008年にかけて、日本のアニメ・戦隊ソングをライブで歌い、海外公演も行う「JAMプロジェクト」の一員として活動していたこともある。かねてより世界中のアニメ・特撮好きに多くのファンがいたというわけだ。
海外公演で驚きの変化 主催者は個人!?
海外公演では、驚いたことがあったという。
「以前は『ジャパンエキスポ』のような大きなイベントや、他の歌手と一緒に日本の歌やアニメ、文化を紹介するようなイベントへの参加が多かったんですが、この2年間で驚いたのが、個人が主催して呼んでくれたライブです。ドバイの企画で、私以外は誰が呼ばれているのかな、と思っていたら、出演は私だけ。個人が会場を押さえて、私一人を呼んでくれていたんです。お客さんは500人以上は入っていました。最近は、会社などで成功した方が『松本梨香を呼びたい』と主催してくれるファンミーティングでお声がけいただく事も増えています」
また海外の会場では、日本のアニメや特撮の人気、そこから生じた日本への熱い思いを何度も実感したという。
「ライブで歌うのはアニメや特撮、私自身の曲で、もちろん歌詞は日本語。すごいのは、みんな歌詞を覚えていて、一緒に歌ってくれるんです。歌詞を間違えたらすぐバレます(笑)。公演後なんて、退場時のBGMに私の曲が流れると、その歌も日本語で大合唱になっちゃうくらいですから……」
サイン会ではこんなことも。
「その国の言葉を覚えて話しかけると日本語で返ってくるんです。例えばこっちが“ハロー”って言うと“こんにちは”って日本語で言われるみたいな。日本語を学んだから、私と日本語で話をしたいんですね。それぐらいアニメを通じて日本を好きになり、日本語が身近なものになっているんです」
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