V3「大の里」の勝因と課題 「横綱昇進は十分にあり得る。望まれる勝ち星の数は…」【音羽山親方の春場所総括】

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横綱は毎場所「結果」が求められる

――初場所後、74代横綱に昇進。今場所は新横綱として臨んだ豊昇龍関が、ヒジの負傷などで途中休場と、いきなりピンチに追い込まれてしまいました。

音羽山:初場所で痛めたヒジの具合が悪いということで、場所前の連合稽古の時にもサポーターを付けていたので、ちょっと心配だったんですよ。ただ、稽古内容はよかったし、番数も多くて、元気な印象でした。

 横綱になったわけですから、やはり毎場所「結果」が求められます。途中休場をしたら、厳しい状況に追い込まれるということを、今回、本人はよくわかったんじゃないでしょうか? そういうことをこれから肌で感じながら、彼なりの「横綱像」というものを作り上げていってほしいと思っています。

「基本中の基本の相撲」を取れる安青錦

――今場所は新入幕、ウクライナ出身の安青錦関が千秋楽まで4敗をキープ。状況次第では、優勝決定戦に進出する活躍を見せました。

音羽山:安青錦のよさは、基本中の基本の相撲を取れるというところです。

 相撲の攻めの基本は前傾姿勢なのですが、その姿勢を取りたいと思っていても、取れる力士はなかなかいない。引かれても落ちないし、あんな体勢で相撲を取られたら、対戦力士はイヤなものですよ。腹筋、背筋が相当強いんでしょうね。これからの課題は下半身を太くすることです。

 今は勢いで勝っているところもありますが、巡業などで他の力士から相撲を研究されてくるでしょう。今後、幕内上位に定着するには、立ち合いをもっと鋭くすること。まだ21歳と若いし、楽しみな存在です。

――31歳の平幕・美ノ海関も11勝4敗で初めての敢闘賞を受賞しましたね。

音羽山:長い間、十両の土俵でくすぶっていましたが、相撲センスはあると私は見ていました。やっと幕内に定着してきた感じですね。

 基本は前みつを引いて攻める四つ相撲ですが、前みつを取れなくても相撲を取れるところが強み。たとえば、今場所14日目は2敗で優勝戦線トップだった高安と対戦しましたが、前傾姿勢から止まらない攻めを見せて、高安を翻弄。土を付けたのは見事でした。

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