「書いてあることはすべて事実」 アントニオ猪木の弟が覚悟の執筆 波乱万丈の闘魂人生
とにかく優しい人
2022年10月、79歳で死去したプロレスラーのアントニオ猪木。闘病生活を支え、その最期を看取ったのが弟の猪木啓介氏(77)だ。今年2月、『兄 私だけが知るアントニオ猪木』(講談社)を出版。波乱万丈だった兄の人生を振り返っている。改めて、現在の心境を啓介氏に聞いた。(全6回の第1回)
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――今回の執筆のきっかけを教えてください。
実際に兄貴が亡くなった後、いろいろな取材を受ける中で「こういう本を出してみてはどうか」という話があったんです。僕自身も、兄貴が亡くなった後、改めて思い出すことが多くなって……。「ああ、あんなことがあったな」「こんなことがあったな」と思い出す機会が増えてきたんですね。そういう流れの中で、「どうですか?」と声をかけてもらい、「ぜひやってみたい」と思ったのがきっかけです。
――お兄さんの記録を残しておきたいという思いがあったのでしょうか。
もちろんです。目立った出来事や「こんなことがあったんですよ」と私だけが知る話を中心に書きました。ただ、まだまだ伝えきれていないこともあります。特に兄貴のブラジル時代のことは、もっと話したいことがたくさんありますね。
――お兄さんが亡くなった後、周囲の反応を見て感じたこと はありますか。
一般の人と話をする中で、アントニオ猪木への思いがすごく強いことに驚きました。「こんなに多くの人に愛されていたのか」と改めて実感したんです。だからこそ、フィクションではなく、きちんと本当のことを伝えたいという思いがありました。
――本を書き終えて、どのような思いでしたか。
書いてあることはすべて事実です。偽りなく書いています。でも、中には「なんでこんなことを書いたの?」と言われることもありました。でも、兄貴のことを多くの人に理解してもらいたいという思いがあったので、そのまま伝えようと決めました。
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