あまりにも強すぎる「ドジャース」に決定的な弱点はあるか? 「地区優勝は確実」も専門家が指摘する“4つの不安要素”
内野とキャッチャーも不安要因
「原因は明白で、ムーキー・ベッツ選手(32)がワガママなのです。彼の本職はライトで、ゴールドグラブ賞の常連でした。ところが彼はシーズンMVPの受賞にこだわるようになってしまいます。MVPの選考には『WAR(Wins Above Replacement)』という指標が重視されます。野手の場合は走攻守の貢献度でWARの数値が出ますが、ライトよりショートのほうが重要度は高いとされ、自動的に数値が上がるのです。そしてベッツ選手のショートは難ありと言わざるを得ません。加えてサードのマックス・マンシー選手(34)の守備もひどく、セカンドは固定に失敗。ファーストのフレディ・フリーマン選手(35)はゴールドグラブ賞を受賞したこともありますが、年齢と共に守備範囲が狭まってきました」(同・友成氏)
“守備の要”と呼ばれるキャッチャーも不安要因だという。ドジャースの正捕手はウィル・スミス(29)。4番を任されることもあるほど長打力は秀でているが、いわゆる“名捕手”のタイプではない。
「近年のMLBでは捕手の『フレーミング』という技術が注目を集めています。要するに上手にキャッチャーミットを動かし、ボール球でも審判にはストライクに見えるというキャッチングのことです。スミス選手のフレーミングは最低レベルと分析され、加えてボールブロッキングの評価が低いことも気になります。投手のボールを後ろにそらす割合が高いわけで、大谷投手や佐々木投手のフォークはワンバウンドになることが多く、スミス選手のブロッキング技術では不安です」(同・友成氏)
鍵を握るのは大谷
友成氏は「ドジャースは昨年のレギュラーシーズンで98勝しました。今年は100勝以上の圧勝で地区優勝する可能性もあり、これは逆に懸念材料です」と指摘する。チームが弱くてポストシーズンに進めないのではなく、強いからこそ負けるという逆説だ。
「大谷選手の『ヒリヒリする9月を味わいたい』という言葉は有名ですが、今年のドジャースだとヒリヒリできないかもしれません。そして9月も楽勝だと、どうしても選手の気持ちは緩みます。油断しているところを急に厳しいポストシーズンを戦うことになり、あれよあれよという間に0勝3敗で負けるのは珍しいことではありません。これを防ぐためには中盤を接戦で苦労し、9月と10月にチームのピークを持って行く必要があります」
よく考えてみれば、贅沢な話ではある。ただシーズン終盤とポストシーズンにチームのピークを持って行けるかどうかの鍵を握るのは、やはり大谷だという。
「ドジャースが昨年に優勝できたのも、終盤戦とポストシーズンで適切な緊張感を持続できたからです。今年も同じ展開を狙うなら、例えば接戦をリリーフ陣で乗り切ることが続けば理想的でしょう。ドジャースの先発陣は不安だと指摘しましたが、今年のリリーフ陣は非常に充実しています。また育成力のあるドジャースはシーズンで故障者が出ても、優秀な選手がマイナーから上がるという“伝統”があります。そしてドジャースが最高に盛り上がるとすれば、中盤の接戦をマイナーの選手もフル動員して乗り切り、“ヒリヒリする9月”を大谷選手の二刀流で制するという展開です」(同・友成氏)
優勝に必要な大谷の“二刀流ノルマ”
大谷が終盤戦とポストシーズンを二刀流で大活躍すればチームもファンも盛りあがり、ワールドシリーズ連覇が見えてくる。
「ポストシーズンの先発ローテーションは4人体制です。ここに大谷投手は絶対に入る必要があります。首脳陣もファンもそれを求めていますし、本人も絶対に入ると心に決めているでしょう。そして今年の山本投手は日本と同じローテーションの間隔になりますから活躍が予想されます。大谷投手と山本投手がポストシーズンで先発ローテ入りし、ケガが心配される佐々木投手はロングリリーフに回ることが可能になれば、ドジャースの強さがワールドシリーズに向かってフルに発揮されると考えています」(同・友成氏)
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