あまりにも強すぎる「ドジャース」に決定的な弱点はあるか? 「地区優勝は確実」も専門家が指摘する“4つの不安要素”

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 プロスポーツの世界で、強いチームにはファンだけでなくアンチも多い。そして「ファンとアンチは同じ穴のムジナ」とも言われる。何しろ嫌いなチームが負けるのを見るため、全試合をチェックするアンチも珍しくないほどだ。中途半端なファンより、よほどチームの内情に詳しかったりする。そしてMLBで最もファンとアンチの多いチームはドジャースに決まったようだ。

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 ヤンキースの黄金時代だった1955年には「くたばれ!ヤンキース」という傑作ミュージカルがブロードウェーで初演された。あまりに強すぎるヤンキースを呪うセネタースのファンが主人公という設定だ。

 そのヤンキースは昨年のワールドシリーズに出場したが、ドジャースを前に1勝4敗のワンサイドゲームで敗れ去ったのは記憶に新しい。

 ヤンキースからドジャースへ──後世の識者が昨年のシリーズを“MLBの王朝交替”と位置づける日が来るかもしれない。もともとドジャースは超のつく人気球団で、観客動員は2013年からコロナ禍の期間を除いて常にトップ。いわゆる“金満球団”であり、なりふり構わない補強は議論を呼んだ。そのためアンチはドジャースを「悪の帝国」と呼ぶ。

 アンチの存在が逆説的にドジャースの強さを証明しているわけだが、果たして今季はどうなのだろうか。ワールドシリーズ連覇を期待するファンは多いはずでも、MLBの長い歴史の中で連覇したチームとなると限られてくる。

 連覇の記録を振り返ってみると、やはり圧倒的なのはヤンキースだ。1927年と28年に球団史上初となる連覇を果たすと、1936年から39年までは4連覇、1949年から53年までは5連覇と文字通りの黄金時代を築く。

「地区優勝は決まり」の指摘

 さらに1961年と62年、1977年と78年でも連覇し、1998年から2000年までは3連覇を果たした。21世紀になってから連覇したチームは存在せず、ヤンキースが20世紀最後の年に果たした3連覇がMLB史上最後の連覇記録となっている。

 意外なのはアスレチックス。ノンフィクション作家マイケル・ルイスの世界的ベストセラー『マネー・ボール』では究極の貧乏球団が抱える苦悩や悲哀が詳細に描かれたが、何と1910年と11年、29年と30年、73年と74年の3回、連覇を果たしている。

 カブス(1907年、08年)、ジャイアンツ(1920年、21年)、ブルージェイズ(1992年、93年)といったチームも連覇を成し遂げた。だがドジャースはワールドシリーズを8回も制したにもかかわらず、連覇したことは一度もない。

 大谷翔平(30)、山本由伸(26)、佐々木朗希(23)の3選手が大活躍し、ドジャースが球団史上初となるワールドシリーズ連覇を成し遂げる──日本人ファンにとって最高のシナリオであることは言うまでもない。

 MLB研究家の友成那智氏は「ナ・リーグ西地区の優勝なら、よほどのトラブルが起きない限りドジャースで決まりでしょう」と断言する。

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