インサイダー取引で有罪の元裁判官、キラキラしていた慶應ボーイ時代 「体力を生かして猛勉強し、飛び級で法科大学院に」
「唯一残された道は……」
先の司法記者が続ける。
「佐藤被告の司法試験合格は2017年9月。司法修習後の19年、大阪地裁判事補に任官してからは主に民事裁判を担当し経験を積んできました。C型肝炎やアスベストを巡る国家賠償請求訴訟など著名な裁判にも携わっています」
能力を高く評価され、
「任官10年以内の若手を内閣官房や法務省といった行政機関や民間企業に出して外部経験を積ませる制度で、金融庁に出向しました。中央省庁へは優れた人材が派遣されるので将来を嘱望されていたのは確実です」
積み上がった期待が一気に消失した元裁判官は今後、どうなるのか。
「初公判では検察側が懲役2年、追徴金約1020万円などを求刑し、弁護側は執行猶予付き判決を求めて結審しています。目下のところ佐藤被告の法曹資格は失われてはいませんが、3月26日の判決で、執行猶予付きであっても有罪となれば、裁判官同様、禁錮以上の刑が欠格事由に該当する検察官、弁護士にはなれません」
唯一、残されているのは、
「執行猶予期間の満了後、欠格事由がなくなったとして弁護士になる可能性です。とはいえ、弁護士として活動するにはどこかの弁護士会に登録する必要がある。登録を認めるかどうかは各弁護士会の判断となります」
インサイダーの前科を持つ元裁判官はいばらの道を歩むことになるだろう。