インサイダー取引で有罪の元裁判官、キラキラしていた慶應ボーイ時代 「体力を生かして猛勉強し、飛び級で法科大学院に」

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 金融庁に出向した裁判官がインサイダー取引に手を染め、裁く側から裁かれる側に回った。異例中の異例の事態である。

 その主役として世間の関心の的となっているのは、裁判官出身の元金融庁職員、佐藤壮一郎被告(32)だ。

 社会部デスクによると、

「佐藤被告は業務で知った株式公開買い付け(TOB)の関連情報をもとにインサイダー取引を行った。昨年12月、東京地検特捜部が金融商品取引法違反の罪で在宅起訴。3月19日に東京地裁で開かれた初公判では起訴内容を認めています」

約550万円を利得

 佐藤被告が最高裁事務総局から金融庁へと出向したのは昨年4月で、

「企業開示課の課長補佐としてTOBを予定する企業の審査を担当していました。職場のパソコンで多数の未公開情報を得られる立場になり、出向直後から9月まで、違法と認識しながらも楽天証券を介して自分名義で取引を繰り返していた」

 半年間の“成果”は、

「10回にわたって10銘柄計1万1800株を約952万円で購入。これらの売却益と想定売買益をあわせた約550万円の利得は、別の株の購入やクレジットカードの支払いに充てられていました」

 不正発覚後の昨年12月、“法の番人”は金融庁を懲戒免職となり、無職の身に。裁判官が出向先で懲戒免職処分を受けた場合、裁判官に戻ることはできないのだ。

体力を生かし猛勉強

 佐藤被告は初公判の法廷で“裁判官としての規範意識が低かった”と述べ、

「不正に及んだ動機は、“老いていく両親や授かったばかりの子どものため金銭的に備えようとの思いに取りつかれた”とのこと。法の番人が聞いてあきれますが、その半生はずっと、将来を期待される存在でした。“慶應ボーイ”でしたしね」

 と、司法記者が言う。

「学生時代の友人によれば、彼は埼玉県出身で中学から慶應に入ったそうです。中学時代はバレーボール、高校ではアメフトに熱中するかたわら、勉強もできた。文武両道だったといいます」

 大学は法学部へ進学。学部の同級生が振り返るには、

「入学後の早い時点で司法試験への挑戦を決めていました。スポーツをしていたので体力は人一倍あり、それを生かして猛勉強していた。で、優秀な成績を収めて飛び級で法科大学院に入り、24歳で司法試験に合格。大学の仲間はみんな感心していました。でもたしか、彼は検事になりたいと言っていたんですけどね。判事に路線変更した理由は分かりません」

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