パワハラに初謝罪「斎藤知事」を追い詰める新たな一手 「元県民局長の私文書抜き取り」首謀者が判明する可能性も
3月26日、兵庫県の斎藤元彦知事(47)が県議会定例会の最終日を終え会見を開いた。そして、第三者委員会(文書問題調査特別委員会)で自身のパワハラが認定されたことに対し「真摯に受け止めたい」と初めて謝罪の言葉を述べた。その一方で、告発文書を作成した元県民局長に対する懲戒処分の撤回や謝罪の言葉はなかった。
***
【写真を見る】“お土産”を「俺がもらっていく」と堂々お持ち帰り 高級ガニを手に満面の笑みを見せる“パワハラ疑惑”の斎藤知事
元県民局長が作成した斎藤知事によるパワハラ行為などを告発した文書について、本人が会見で「嘘八百」「公務員失格」などと並べ立てて非難したのは昨年3月27日のことだった。兵庫県の混乱ぶりを世に知らしめることとなった会見から1年、第三者委員会の報告書はこの会見での発言もパワハラに該当すると批判し、嘘八百と無視することはできない内容としている。だが、告発文書を作成した元県民局長も、百条委員会で事実を解明しようとした竹内英明県議も今はいない。
斎藤知事は会見で、今後どうあるべきかを述べた。
「今後は百条委員会でもご提言をいただきましたアンガーマネジメントを含むハラスメント研修を定期的に受講すると共に、ハラスメントのない風通しの良い職場づくり、再発防止に向け取り組んでいきたいと考えております。(中略)しっかりと反省をし、感謝の気持ちを謙虚な姿勢を胸に刻んで、これからの態度を改めていきたいと考えております」
珍しく謙虚なようにも思えるが、告発文書については相変わらず「誹謗中傷性の高い文書」との姿勢を崩すことはなかった。第三者委員会の報告書では、元県民局長を公益通報者として保護しなかったばかりか、匿名の告発者を探し出し、懲戒処分にしたことを「違法」と断じ、懲戒処分を無効としている。これに対して斎藤知事は「真摯に受け止める」と言いつつも、「適切だった」と繰り返し、「最終的には司法の場で判断されるべき」と主張した。
会見に臨んだ記者からは「自身が設置した第三者委員会の結果も、自分の考えと違えば認めないのか?」といった質問も飛んだが、斎藤知事は「真摯に受け止めます」と相も変わらず暖簾に腕押しだ。
県職員を刑事告発
とある県議はいう。
「やはり刑事告発を急がねばなりません」
すでに斎藤知事は、再選した出直し知事選の際のSNS運用に問題があったとしてPR会社「merchu(メルチュ)」の折田楓社長(33)と共に公職選挙法違反の疑いで刑事告発され、受理されている。
「公選法違反の件はまだ時間がかかると言われています。県議会中は検察も県警もなかなか動けませんから。ようやくそれも終わったわけですが、PR会社の捜索で持ち出した膨大な資料を読み込むのにも時間がかかりそうだと聞いています」
では、刑事告発とは?
「地方公務員法違反という形で県職員を告発するのです」
県職員は斎藤知事によるパワハラの被害者では?
「一般職員ではありません。斎藤知事の側近が狙いです。知事は元県民局長から押収した公用パソコンにあった私的文書について『極めて不適切なわいせつ文書』とまで断言していますが、死者に対する冒涜であると同時に情報漏洩に他なりません。この県民局長の私的文書を最初に外部に漏洩したとされるのが、斎藤知事の最側近と言われた井ノ本知明・前総務部長です」
県職員の情報漏洩については別の第三者委員会が立ち上げられ、今年度中、つまり3月末日までに結果が出される予定だ。
「ところが、この第三者員会の設置経緯や委員名簿などが不開示決定されたため、不開示の取り消しを求める訴えを神戸学院大学の上脇博之教授が県に対して起こしています。このままでは有耶無耶になりかねません」
百条委員会では複数の県議が、井ノ本前総務部長から私的文書を見せられたと証言していた。また、井ノ本前総務部長は「守秘義務違反の嫌疑を受ける可能性がある」と百条委員会での証言を拒んだこともあった。
[1/2ページ]