OP戦首位「新庄日ハム」の“メジャー流”戦略モデルとは エースと主力打者流出も、就任4年目で優勝を狙える理由

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 2025年のプロ野球が28日にいよいよ開幕する。昨季と同様に混戦模様のセ・リーグに対して、パ・リーグはソフトバンクがやや抜けた存在とみられている。スポーツ紙各社の評論家陣の順位予想を見ても、ソフトバンクが優勢だが、そのソフトバンクの対抗馬として名前が挙がっているのが、ほかでもない日本ハムである。
【八木遊/スポーツライター】

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日本ハム「Bクラス」予想は25人中1人だけ

 例えば『スポーツニッポン』では、本紙評論家25人のうち19人がソフトバンクの連覇を予想しているが、残る6人が日本ハムを最上位に評価。2位予想が15人、3位予想が3人で、Bクラスの低評価は、4位とした東尾修氏だけだった。オープン戦で優勝したことも前評判の高さにつながっているのだろう。

 昨季はソフトバンクに13.5ゲーム差をつけられて2位に終わった日本ハム。クライマックスシリーズ(CS)ファイナルでも王者に3連敗を喫したが、公式戦では12勝12敗1分と互角の戦いを演じていた。野手を中心に生きのいい若手が多く、伸びシロは12球団でも屈指なだけに一気に頂点に駆け上がることも夢ではないはずだ。

 そんな日本ハムの指揮を執るのは、奇想天外な作戦を繰り出すことも多い新庄剛志監督。就任当初は結果が伴わず“迷将”と呼ばれることもあったが、勝負の3年目でチームを2位に引き上げたことで、一転“名将”への道が開けている。

 昨シーズン後は契約更新に言葉を濁していたが、ドラフト会議当日という異例の時期に続投を発表。チーム再建に成功したタイミングで辞める選択肢もあったはずだが、新庄監督は4年目も指揮を執ることを選択した。

 考えようによっては、もし4年目の今季、期待に反して下位に低迷するようなことになれば、最高潮に達した新庄監督の手腕に対する評価も下がることになる。“最下位が当たり前”だった過去3シーズンとは比べ物にならないプレッシャーの中で、新庄監督は再びチームの舵を取ることになった。

就任会見にワインレッド色の鮮やかなスーツとサングラス姿で登場

 改めて新庄監督が2021年秋、日本ハムの22人目の監督に就任して以降の軌跡を振り返っておこう。

 06年に現役引退後は会社を設立したり、バリ島に移住したり、自由な生活を送っていたという新庄監督。野球との関わりがほぼゼロだった中で、大きな話題となったのが、48歳だった20年に12球団合同トライアウトに参加したことだった。今となっては、それも監督就任に向けた前座だったのだろう。

 就任会見にワインレッド色の鮮やかなスーツとサングラス姿で登場した新庄監督。目指すチームの最終形として“世界一の球団、世界一のチームにしたい”とビジョンを語っていたのが印象的だが、少なくとも今季は日本一が視界に入っている。

 新庄監督が栗山英樹前監督からバトンを受けた当時は3年連続で5位に沈み、チーム内の雰囲気も決して良くなかったころだ。

 というのも21年の夏に当時の主砲、中田翔(現中日)が同僚選手に対して暴力行為を働き、球団の判断で即座に出場停止処分を科されていた。チーム内外に動揺が広がっていたが、10日もたたないうちに巨人へのトレードが決定。日本ハムは戦力的な痛手を自ら負うことになった。

 そして新庄監督の就任会見から2週間もたたないうちにさらなる戦力ダウンを強いられる。それが、海外フリーエージェント(FA)権を取得していた西川遥輝と、国内FA権を取得していた秋吉亮、大田泰示の3選手に対してのノンテンダーである。

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