「親の十四光り」は間違い? Koki,の演技への意外な高評価と、「キムタク超え」の可能性

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

100回を超える顔のどアップ 演技よりも問われる見た目と「育ちの良さ」

 マンガ原作ということもあり、全体的にコマ割り的なカットや演出は多い。ヒロインの喜怒哀楽は顔のアップで表現され、相手役の男性たちの複雑な背景は全て友達のセリフが説明してくれる。巻き髪ヒロインのゴージャスなスタイルを際立たせるため、女友達やバイト仲間は身長150cm台で短めの髪形ばかり。実写化作品の常といえるが、要はちゃんとセリフが言えて、一定以上のルックスとスタイルがあれば、成立するヒロインということもできる。

 ただ驚いたのは、ヒロインの顔がアップになる回数だ。途中から数えていたが、ほぼ1分に1回はKoki,さんの顔がデカデカと映る。「女神降臨」の上映時間は102分。単純計算すれば102回、映画館のスクリーンで大写しになるのだ。100回を超えるどアップに、耐えうる美貌を持つ若手女優はそうはいないのではないだろうか。「平成を抱いた男」と言われる木村さん譲りのルックスをもってして、ようやく太刀打ちできる芸当だなと思ったものだ。

 そもそも荒れた肌でさえない顔の女性が、メイクの力でモテモテ美女に大変身!というストーリー自体、リアリティーを欠いている。もっといえば、勉強も運動もイマイチで、思春期に鈍臭いブスだと苛烈ないじめを受けていたら、もっと卑屈でネガティブな性格になるはずだ。でもヒロインはイケメンにも堂々と話しかけるし、バイトもおしゃれなカフェの接客を選ぶ。いじめっ子のことを聞かれても、困ったように小さくほほ笑むだけ。その健気さが人気者男子の気を引き、はからずも三角関係になるという展開だ。メイクを覚えたくらいで、こんな何でもうまくいくわけねーだろ、と毒づきそうになる。

 けれどもKoki,さんを見ていると、まあいいか、と握ったこぶしが緩んでしまう。それは愛されて育ったことに裏打ちされた、素直で人を疑わない「育ちの良さ」を発しているからなのだろう。声やしゃべり方もかわいらしいが、ぶりっこという印象には転ばない。

 そのことが、リアリティーが無くご都合主義のヒロインという批判をギリギリでかわし、応援したくなる憧れのヒロインを再現しえた最大の要因ではないだろうか。少女マンガという夢の世界ならではの明るさや華やかさは、「未熟」と言われても演技に力むことのない、あっけらかんとそこに立てる育ちの良い女優だったからこそ成立したように思うのだ。

次ページ:年末は父娘共演の授賞式なるか? 父・キムタクは日アカ優秀主演男優賞辞退の過去も

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。