最終回を迎えた「おむすび」をプロが総括 「学びや考察がない」「ヒロインへの敬愛を感じなかった」

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 NHKの朝ドラ「おむすび」が最終回を迎えた。前週までの平均視聴率は13・1%で、歴代ワースト記録を持つ「ウェルかめ」(2009年度後期)の平均13・5%を更新することは確実だ(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯:以下同)。ヒロインに人気女優の橋本環奈(26)を立てながらも、ここまで不人気となったワケを探る。

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 最終週「おむすび、みんなを結ぶ」では、結(橋本)が所属する大阪新淀川記念病院のNST(栄養サポートチーム)が活動停止の危機に直面、神戸を離れ福岡・糸島に戻った両親(北村有起哉、麻生久美子)の生活、アパレル会社のCEOで姉の歩(仲里依紗)が孤独な少女・田原詩(大島美優)を引き取る決断をする……などなどが描かれた。民放プロデューサーは言う。

「朝ドラは1日15分、最後の1週間(5日間)の計75分にこれだけの話を詰め込むわけです。そりゃあ、ひとつひとつのエピソードを丁寧に描くことなど無理ですよ。そのくせ肝心なシーンは掘り下げないから、回を追うにつれ見るのが苦痛になってくる。『おむすび』は終始これでした」

 例えば、ヒロイン・結の出産シーンは描かれることもなく、祖父・永吉(松平健)はナレーションで死亡が伝えられただけだった。もちろん、重要なシーンを敢えて描かないという演出方法もある。「あまちゃん」(13年度前期)は、東日本大震災直後の東北の景色はほとんど描かなかった。それでも震災の悲惨さは十二分に伝わった。「おむすび」の場合、そういった感じはしないのだ。

期待の朝ドラだったのに

「主演が人気若手女優の橋本で、『NHK紅白歌合戦』の司会に3年連続で抜擢されるという無双ぶりを見せつけました。映画や連ドラの経験も十分で、『銀魂』シリーズ、『キングダム』シリーズ、劇場版と連ドラ版の『今日から俺は!』(日本テレビ)での演技力、興行成績、視聴率だって申し分ない。また、脚本も実力派の根本ノンジ氏。『監察医 朝顔』(フジテレビ)では東日本大震災で母親を失った主人公(上野樹里)に寄り添いながら心の機微を描き、『正直不動産』(NHK)ではコミカルに楽しく不動産業の裏側に迫りました。実績十分な二人の組み合わせは期待しかありませんでした」

 番組終了直後の朝ドラ受けが名物だった「あさイチ」(NHK)ですら、「おむすび」について語ることはめっきり減った。なぜこんなことに?

「はっきり言って、制作陣の非力と怠慢、そして視聴者をなめてかかったからです。それは初回から表れていました。ヒロインの水落ちと、それに被せた『うちは朝ドラヒロインか?』という“セルフツッコミ”が典型例です」

「あまちゃん」はじめ「ごちそうさん」(13年度後期)や「とと姉ちゃん」(16年度前期)など、朝ドラではヒロインが水に落ちるシーンが描かれることは少なくない。お約束をあえて初回に入れたことについて、制作統括の宇佐川隆史氏がインタビューに答えている。

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