杏里「オリビアを聴きながら」や松田聖子の名曲たちを生んだ尾崎亜美が語る制作秘話「『天使のウィンク』は明日までに作詞・作曲をお願いと言われ……」
海外で大人気の岡田有希子「Summer Beach」は本人も大のお気に入り
Spotifyランキングに戻ると、松田聖子の2大ヒット作に挟まれる第3位に、岡田有希子の「Summer Beach」(’85年)がランクイン。本作は、海外シェアが9割近くとなっており、まさに近年の“ジャパニーズ・シティ・ポップ”のブームに乗った1作だと言える。’24年には、海外リスナーを意識したのか、“AI版・岡田有希子”と言えそうなアートワークのアナログ盤がリリースされ、週間オリコンランキング30位に入るほど人気が再燃した。
そもそも、軽やかな昭和ポップスは全般的に海外受けがいいのだが、本作は全体的に明るい雰囲気でありつつ、随所に憂いを感じさせる部分もある。これは、岡田有希子の歌声を意識して作ったからだろうか。
「有希子ちゃんは可愛らしい感じに歌えるけれど、意外としっとりした声なんですよ。そういう声質を意識して作ったと思います。彼女はこのレコーディングが終わってからも、『Summer Beach』を一度歌って調子を上げてから他の歌にとりかかっていたらしく、ご本人からも“亜美さん! 私、この曲が本当に大好きなんです”と言っていただけて嬉しかったですね。やっぱり、自分の作品を人にお渡しする時には、その人が愛してくれることが何よりも幸せなので」
そういった作家や歌い手の想いの強さがあるからこそ、時を超え、国境を越え、今なお愛されて続けている楽曲があるのだろう。尾崎の話をうかがっていると、目先のヒットトレンドを追うこと以上に、そのずっと先まで人々の心に残り続けるかどうかが大事であるのだと、考えさせられる。
【次回】は、歌詞を直されてから“インチキ英語”に寛容になった話や、河合奈保子、松本伊代らに提供した楽曲にまつわるエピソードも語ってもらおう。
【INFORMATION】
◎2枚組アルバムコンピレーションCD『TWIN-SONGs~尾崎亜美作品集』 2025/3/26発売!
ディスク1には1970年代後半から’90年代初頭までに尾崎亜美が15人の女性シンガーに提供した楽曲のオリジナル音源を収録。ディスク2には尾崎亜美自身によるカバーを、ディスク1と同じ曲目、曲順で収録。
Disc 1収録曲/歌唱
1. オリビアを聴きながら/杏里
2. 天使のウィンク/松田聖子
3. あなたの空を翔びたい/高橋真梨子
4. Summer Beach/岡田有希子
5. 時に愛は/松本伊代
6. 化粧なんて似合わない/岩崎良美
7. パステル ラヴ/金井夕子
8. 微風(そよかぜ)のメロディー/河合奈保子
9. 伝説の少女/観月ありさ
10. 届かなかった AIRMAIL/真璃子
11. LADY/桜田淳子
12. Happy Birthday/横山知枝
13. 風を見つめて/榊原郁恵
14. 雨は止まない/薬師丸ひろ子
15. 春の予感‐I've been mellow‐/南沙織
Disc 2
1~15の楽曲を同じ曲順で尾崎亜美がセルフカバー
◎2025年4月、『尾崎亜美 CONCERT 2025』開催!
【メンバー】
尾崎亜美(Vo,Key)/小原礼(Ba)/是永巧一(Gt)
【会場】
・2025/4/4(金)@ビルボードライブ横浜
・2025/4/7(月)@ビルボードライブ大阪
・2025/4/25(金)@ビルボードライブ東京
1st ステージ 開場 16:30 / 開演 17:30
2nd ステージ 開場 19:30 / 開演 20:30
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