10万円商品券配布に「これはヤバいと思った」…1年生議員が告白 返却しようとすると「“問題ないのに、それでもお返しになりますか”と念を押された」

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石破おろしの号砲が鳴った翌日に……

【全2回(前編/後編)の前編】

 自民党のウラ金問題には厳しい姿勢で臨んできた石破茂首相(68)に持ち上がった「商品券配布問題」。あのドケチな首相がなぜと誰もが首をかしげる中、ある官邸幹部の存在が浮かび上がる。石破氏とこの幹部とは、切っても切れない固い絆で結ばれていて――。

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 3月13日深夜、記者団に向き合った石破首相は努めて平静を装おうとしていたが、記者からの質問が核心に迫ると、その表情をこわばらせたのだった――。

〈号外 自民の初当選衆院議員が石破茂首相側から商品券10万円相当受け取り。複数証言〉

 朝日新聞が他紙に先駆けてデジタル版でこの速報を打ったのは、3月13日午後8時12分。石破首相が今月3日夜、首相公邸で開催した1年生議員との懇談会を巡る〈号外〉だった。

「3日午後、石破首相の秘書が懇談会に先立ち、参加者の各事務所を回り、“お土産です”と説明しながら商品券10万円相当分を配り歩いていたことが明らかになりました。この行為は政治資金規正法21条の2が禁じる、政治家個人への金銭等の寄付に抵触する恐れがあります」

 とは政治部デスク。

「国会では今、石破首相の高額療養費制度見直し凍結の表明を受けて、参院での予算案再修正という異例の事態が進行中です。しかも、12日には自民党の西田昌司参院議員が、参院議員総会で総裁選の実施を主張し、石破おろしの号砲が鳴った翌日の報道でした。インパクトは大きかったですよ」(同)

 首相は朝日の速報から3時間後、急きょ首相公邸で冒頭に紹介した記者団の囲み取材に応じている。

焦りの表れ

 石破氏はまず、

「会食のお土産代わりに、ご家族へのねぎらいなどの観点から、私自身の私費、ポケットマネーで用意をしたものでございます。これは、法律に抵触をするものではございません。そのような趣旨のものでありますので、政治活動に関する寄付でもございません。政治資金規正法上の問題はないということでございます」

 そう釈明。だが、続く質疑応答で朝日の記者から政治資金規正法に抵触しないと考えるのかと改めて問われて、

「政治資金規正法の第何条のどの趣旨を仰っておられますか」

 などと、記者に逆質問。記者が即答できずにいると、

「第何条のどの条文を仰っておられますか。今、“政治資金規正法上”と仰いましたので、第何条のどこの条文か仰っていただけますと、正確にお答えできますが」

 ねっとりとした例の口調で、こう畳みかけたのだが、それは焦りの表れにほかあるまい。

「14日の参院予算委員会では自民党の議員からも“国民の感覚とずれてしまったのではないか”と苦言を呈され、首相は“(商品券額が10万円と高額だったことについて)世の中の常識と違うという指摘は甘んじて受けねばならない。真摯に厳しく反省しなければならない”と陳謝しました」(前出のデスク)

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