日本代表が2年4ヵ月ぶりの「無得点」に終わった理由 サウジの“超守備的”戦術とクウェート人主審の“疑惑の笛”…海外組がケガを恐れるやむを得ない事情も

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 2026年北中米W杯のアジア最終予選グループC第8節で、ホームにサウジアラビアを迎えた日本は3月26日、ワンサイドゲームを展開しながらも、サウジアラビアの堅守を崩せず0-0のドローで終了。勝点1を積み上げて勝点を20に伸ばし、同じ日に中国(勝点6)を2-0で下したオーストラリアが勝点を13としたが、2試合を残して首位でのW杯出場を決めた。【六川亨/サッカージャーナリスト】

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 その他の試合ではインドネシアがバーレーンを1-0で退け、勝点を9として4位をキープ。敗れたバーレーンは勝点6のまま。この結果、5位バーレーンと6位中国の2位以内という自動出場の可能性は消えた。熾烈な2位争いはオーストラリア(勝点13)、サウジアラビア(勝点10)、インドネシア(勝点9)の三つ巴となり、残り2試合がW杯へのサバイバルマッチとなる。

 今後のそれぞれの対戦相手はオーストラリアが日本(6月5日)とサウジアラビア(6月10日)、サウジアラビアはバーレーン(6月5日)とオーストラリア、インドネシアは中国(6月5日)と日本(6月10日)となっている。

 ちなみに今予選における各国の対戦成績はオーストラリアが日本とサウジアラビアには1-1、0-0のドロー、サウジアラビアもバーレーンとオーストラリアには2試合とも0-0、そしてインドネシアは中国に1-2、バーレーンに2-2といずれも拮抗した結果になっている。

 さてサウジアラビア戦である。中東の雄はなりふり構わず超守備的な戦術をとってきた。5BKでスペースを埋め、両サイドMFにはフェラス・アルブリカンやサレム・アルダウサリといった中東でも有数な攻撃的な選手がいるにもかかわらず、彼らも自陣に引かせて5-4-1というシステムだ。前線からのプレスは皆無で、自陣にリトリートしたまま専守防衛の姿勢を崩さなかった。

主審はクウェート人

 このため試合は立ち上がりから日本のハーフコートマッチのようになった。ただ、久保建英が「相手も研究してきた」と言うように、左インサイドハーフに入った鎌田大地には、彼がポジションを移しても徹底したマークを敢行。時には2~3人がかりでボールを奪うとカウンターに転じた。

 彼のポジションはインサイドハーフのため、ボールを奪えば直線的なカウンターを発動できる。同じポジションの久保からボールを奪うのは至難の業のため、鎌田をターゲットにした可能性は高い。

 そして鎌田だけを責めるわけではないが、1対1でボールをキープしようとしてもデュエルで粘り強さがなく簡単にボールを奪われていた。ボールが集まる分、ロストする回数も多かったため印象が強かったのかもしれない。彼をはじめほとんどの選手が試合後はすぐにヨーロッパに戻り、厳しいリーグ戦が待っている。ケガを恐れたとしても仕方がないだろう。

 さらに、クゥエート人の主審は接触プレーでサウジアラビアの選手が倒れると日本選手の反則を取るものの、逆のシーンではほとんど笛を吹かなかった。サウジアラビアの選手の必死さに公正なジャッジができないのではと疑ってしまったほどだ。

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