11年連続志願者数トップ「近畿大学」の牙城が崩れ、変わる「大学序列マップ」 次の“高コスパ大学”はどこなのか

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 大学受験業界に激変が起こりつつある。11年連続で志願者数1位を保っていた近畿大学を破り、トップに躍り出たのはなんと「千葉工業大学」。前編の記事【2025年「大学志願者数1位」に輝いた「千葉工業大学」とは? 「早大」「近大」を抑えて“郊外の理系大学”が躍進した理由】では、知名度の低い理系大学が躍進した理由や、同大学の正体について、全国5000にも及ぶ塾の関係者を取材してきた教育ジャーナリストが解説した。後編では、この激変が大学受験業界において今後もたらす変化や、次なるねらい目となりうる“高コスパ大学”などについて明かす。(西田浩史/追手門学院大学客員教授、学習塾業界誌『ルートマップマガジン』編集長)

(前後編の後編)

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かつての近畿大学も……

 千葉工業大学が志願者数トップに躍り出たことは、単に人気の移り変わりを意味するだけに留まらない。

 筆者がこれまでに取材してきた多くの塾関係者によれば、「志願者1位」を獲得すると、入試の難度という意味での大学の序列、格さえも塗り替えうるというのだ。

 千葉工業大学が今回トップに躍り出る前は、「産近甲龍」(京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学)の一角、近畿大学が11年連続で1位だった。同大は、かつて「産近甲龍」の最下位の偏差値だったのだが、志願者数の増加にともない学力もトップに上昇し、今や偏差値は頭ひとつ抜けているとの評価になっている。近畿大学の関係者は、

「『関関同立』は理系学部が弱い。その理系なら研究力や扱う学問の幅広さなら『関関同立』には負けていない」(近畿大学内部の関係者)

 と、自信満々である。

 2000年代初頭まで遡ると、当時は明治大学と早稲田大学が1位、2位を争っていた。志願者が増えたことで、入試難易度においても明治は、GMARCHの下位からトップに上昇し、今や不動の地位を築いている。早稲田の偏差値も上昇傾向にあり、昨今では“ダブル合格”の際の進学先として、慶應義塾大学より優位になっている。

 つまり、志願者数が増えることに比例して入試難度が上がると、これまでの“序列”に大きな変化が起こるきっかけとなりうるということだ。

「日東駒専」を超えるか

 千葉工業大学は今のところ、入試難度(偏差値)では、中堅あたりに位置している。わかりやすくいえば、「日東駒専」の理系学部あたり。なお、筆者が全国300塾に調査している「大学ダブル合格調査」では、同じ千葉県内にキャンパスを構える日本大学理工学部に対して、既にほぼ全ての学科で勝っているという実態がある。

 こうした中で今回、千葉工業大学が志願者1位になったことで、過去の近畿大学、明治大学のような“序列の変化”は起こりうるのだろうか。そこで筆者が61の塾に対して緊急で聞き取り調査を行ったところ、なんと「日東駒専」のくくりからワンランクアップするという意見が55もの塾からあがったのだ。具体的には、

「『日東駒専』の理系学部以上で、東京都市大学、工学院大学、東京電機大学あたり。同じ千葉県内に日本大学の理工学部があるが、それは軽く超えるだろう」(東京・大手塾)

 という。

 また中には、それ以上の“芝浦工業大学レベル”になるという強気の予想をする塾関係者もいた。芝浦工業大学といえば、「GMARCH」の理系学部と同等とされる難関大学である。そこに匹敵するとあれば、新たな大学群の呼び名が生まれる可能性だってあるのだ。

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