オンラインカジノ以外にも…野球賭博や八百長、賭け麻雀でやり玉に挙げられた“黒い”選手&コーチ列伝

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 オリックス・山岡泰輔をはじめ、8球団15人の利用者が判明したオンラインカジノ事件。コンプライアンス違反の疑いで約3週間活動を自粛していた山岡は3月13日から活動を再開したが、他の14人は氏名非公表のまま、所属各球団による罰金などの処分が行われ、幕引きとなる可能性が強いとみられる。プロ野球界では、過去にも賭博に関与した選手、コーチが存在する。彼らはどんな賭博を行い、どんな処分を受けたか振り返ってみよう。【久保田龍雄/ライター】

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自分の登板する試合で相手チームの「勝ち」に金銭を賭けていた

 まず1969年から71年にかけて球界を震撼させ、大きな社会問題にもなったのが、「黒い霧事件」である。

 69年10月、西鉄の投手・永易将易が暴力団の絡んだ野球賭博に関与し、敗退行為(八百長)を行っていたことが明らかになった。これがきっかけで、プロ野球選手のオートレース八百長も含む敗退行為や暴力団関係者との黒い交際が相次いで発覚し、前出の永易をはじめ、西鉄・池永正明、与田順欣、益田昭雄、東映・森安敏明、中日・小川健太郎の6投手が永久追放処分を受けた。与田と益田は、自身の登板試合で相手チームの勝ちに金銭を賭けていたという。

 また、6人のうち、池永と森安は、現金を受け取って返さなかったことなどから、「八百長を承諾した」と見なされての処分で、「疑わしきは罰する」とも言うべき裁定を疑問視する声もあった。その後、池永は、有志たちの署名運動を経て、2005年3月に処分が解除され、復権をはたした。

 賭博といえば、一般に広く普及している麻雀も、原則として1円でも賭けたら違法なのだが、反社会的勢力が絡んでいたり、法外なレートの賭け麻雀を行ったことが発覚した場合は、確実に「アウト」となる。

「何度もやめようと思ったが、またやってしまった」

 87年12月には、西武のエース・東尾修が、麻雀賭博容疑で書類送検された。調べでは、東尾は同年8月6日の深夜から翌7日未明にかけ、都内の高級マンションで知人が開いた麻雀賭博に客として加わっていた疑い。

 警視庁暴力犯罪取締本部が11月7日深夜、東尾の知人とその場にいた客ら7人を賭博開帳図利などの現行犯で逮捕し、その後の調べで東尾が前年秋ごろから数十回にわたって客として加わっていたことが判明した。逮捕された知人は暴力団関係者とも親しく、同本部は暴力団の資金源になっている可能性もあるとみていた。

 12月14日、東尾は「私の不徳の致すところ。ファンに申し訳ない。私が麻雀をしたのは顔見知りだけ。暴力団がその場にいたことは知らなかった。どんな処分も甘んじて受ける」と謝罪した。球団は東尾に6ヵ月間の全試合出場停止と減俸2500万円の処分を科している。

 東尾の事件の記憶がまだ覚めやらぬ89年、西武を再び激震が襲う。同年5月、土井正博2軍打撃コーチが麻雀賭博で逮捕された。

 調べでは、土井コーチは5月12日午後7時ごろから11時ごろまでの間、都内の麻雀店で、同店経営者が開いた高額の賭け麻雀に客として参加していたところを、踏み込んできた警視庁暴力犯罪取締本部に、経営者、他の客4人とともに賭博開帳図利の現行犯で逮捕された。

 近鉄選手時代の70年7月にも常習賭博容疑で書類送検され、1ヵ月間の出場停止処分を受けた前歴がある土井コーチは「何度もやめようと思ったが、ちょっとした気の緩みから、またやってしまった。そういうときには、コーチという自分の立場を忘れてしまうことがある。自分がバカというしかない」と反省。坂井保之球団代表も「教育的立場にある人間が……。残念」と沈痛な表情を見せた。

 5月14日、土井コーチは解雇され、坂井代表も解任となった。

 当時西武の主力選手の一人は「麻雀なんて、みんなやっているんじゃないのですか」とコメントしたが、越えてはいけない一線を踏み越えてしまったら、話は別なのである。

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