61歳・ダウンタウン浜田「休養」で改めて考える大御所芸人の「終活」問題 どうなる「ビッグ3」

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

声がかすれる「さんま」

 たけし自身はさまざまな場所で「テレビは金がもらえるからやっているだけ。本当にやりたいのは映画を撮ること」という趣旨のことを語っている。今年2月にはAmazonプライム・ビデオで最新作の「Broken Rage」が配信開始された。もともとクリエイター気質の強い彼は、今後は自分のモノ作りのために時間を使っていきたいと考えているのだろう。

 明石家さんまは前述の2人に比べると年齢も若いし、いまだにバラエティの世界でも精力的に活動している。ただ、近年では声が少しずつかすれて聞き取りづらくなってきているし、昨年の夏頃には声が出なくなって引退を考えたこともあったという。のどの状態が一番悪かったときには、収録中に発する言葉がほとんど聞き取れない状態になっていて、彼の発言が文字テロップで表示されていたこともあった。

 さんまはしゃべりの名手として知られている。声が出なくなれば引退するしかない、と一時は本人が思い詰めていたのも無理もない。

 また、近年では、さんまの考え方や価値観が古いと批判されることも増えてきている。たとえば、2023年7月放送の「FNS27時間テレビ 鬼笑い祭」(フジテレビ系)では、この特番のかつての恒例企画だった「明石家さんまのラブメイト10」が行われたのだが、その内容に批判が殺到した。

「ラブメイト10」とは、さんまがそれまでの1年間に出会った中で魅力的な女性10人を紹介していくというもの。その中には芸能人もいれば、街で見かけただけの一般人もいる。

 ここでは、今田耕司や岡村隆史といった共演者と共に、さんまが嬉々として女性の容姿を品定めするような言動を行っていた。

 さんまがそういう女性好きのキャラクターを貫いてきたことは周知の事実だが、今の時代の空気としては、68歳の男性が自分の子供ぐらい歳の離れた若い女性について、あの子がかわいい、この子と付き合いたい、などと話しているのは時代錯誤な感じがする。

 さんまの実力そのものが衰えているわけではないし、いまだに根強い人気もある。ただ、時代が移り変わり、彼自身も年齢を重ねている中で、今まで通りのキャラクターを演じることには無理があるのかもしれない。

 芸人は人気商売なので、客に求められなくなったら終わりだ。しかし、ここに挙げたようなレジェンドクラスの芸人は、すでに揺るぎない人気を確立しているため、それがなくなる心配はないだろう。あとは本人の体力や気力の問題だ。それが続く限り、彼らの仕事は続いていく。

 かつて上岡龍太郎は自ら引退を決意して、そのまま辞めていったが、それは例外的なケースである。芸能の仕事で潔く身を引ける人はそれほど多くはない。どんな仕事でも引き際は難しい。人気がある人こそ、引き際を自分ではなかなか決められないという難しさがあるのかもしれない。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。