1週間後に迫るトランプ関税の「Xデー」で米国株はさらに下落? それともチャンス? 米株専門家が今後の動きを予想

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分岐点となるのは「4月2日」か

 では、現在の状況全てが悲観的なのかといえば、そういうわけではありません。10年債利回りは、1月半ばの4.8%台から4.3%まで、50bp(ベーシスポイント)ほど下がってきていますが、これは株式の相対的価値を高めるもので、市場にとっては悪いことではありません。

 マクロ的には、雇用市場が非常に力強さを見せている点に注目です。3月11日に発表されたJOLTS(雇用動態調査)では、求人件数が増加し、新規失業保険申請件数が減少していますが、これは非常に良い兆候です。

 関税の行方について不安はあるものの、トランプ大統領の政策は米国経済をより強固なものにするために行われているとも理解できます。世界中の企業が、トランプの経済政策を見て、米国への投資を加速させていることもポイントと言えるでしょう。

 株式市場はこれまでの下落により、すでに関税問題の影響を織り込みつつあります。ただ、今後の展開によっては更なる下落リスクも否定できません。一方で、更に破壊的な出来事や、全く新たなサプライズでも起きない限り、ここからさらに大幅下落することは考えにくいでしょう。

 トランプ政権の関税交渉が市場関係者の不安をどこまで増幅させるのか、あるいは納得させるのか、4月2日がその行方を左右する重要な分岐点となることは間違いありません。この日、トランプ大統領は各国への相互関税を発動する方針だと明かしています。

 むしろ、私が注目したいのは、市場が次に目を向けるポイント。すなわち、関税戦争が収束した「その先」です。

 なぜなら、半年後には関税戦争は収束している可能性が高いからです。そして、関税政策が固まれば、次の焦点は大統領選挙の公約の一つである「減税」に移ると考えられます。

 特に法人税や所得税の追加減税が焦点となる可能性があり、実現すれば中間層や企業の負担を軽減することで、景気を刺激する効果が見込まれます。

PER(株価収益率)で現在のS&P500を評価すると?

 次に現在の株価水準についてみていきます。逆張り指標として知られる全米個人投資家協会(AAII)のブル・ベア・レシオによると、直近のネット・ブル指数(ブルーベア)は-40.1%と大きくベア(弱気)に傾いています。米国の個人投資家がこれほどまでに悲観的になったのは、2022年9月末(-40.8%)以来のことです。

 ちなみにその際の動きを追ってみると、S&P500は2022年10月第2週にボトムをつけた後、上昇へと転じ、今年2月まで上昇を継続しました。この動きを参考にすると、現在の個人投資家の極端な悲観は、市場の上昇への転換点を示唆している可能性があります。

 また、株価の下落したことで、株式はこれまでより割安感を感じられるようになりました。

 2024年末の24.8倍と割高だった予想PER(株価収益率)ですが、今年のEPSを用いて算出した数値は20.9倍となります。さらに2026年には18.5倍、2027年については17倍まで下がってくると予想されます。

 2024年末の24.8倍と割高だった予想PER(株価収益率)ですが、今年のEPSを用いて算出した数値は20.9倍となります。さらに2026年には18.5倍、2027年については17倍まで下がってくると予想されます。

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