1週間後に迫るトランプ関税の「Xデー」で米国株はさらに下落? それともチャンス? 米株専門家が今後の動きを予想

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 このところ米国株の動きが軟調だ。S&P500は2月19日に史上最高値を更新後、3月13日までに10.5%の急落を見せ、その後いくらか持ち直したものの、日経平均を含む世界の株価に暗い影を落としている。その主要因は、関税を巡るトランプ大統領の奔放な発言にあると言っていいだろう。「アメリカ・ファースト」を標榜するトランプ氏にとっては、「目先の株価なんてお構いなし」ということなのかも知れないが、今は積立NISAなどでアメリカ株に投資する個人投資家も多く、その先行きに不安を抱く人も多いはず。アメリカ株はこの先どうなってしまうのだろうか。マネックス証券の岡元兵八郎氏による解説をお届けする。

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市場を翻弄する「トランプ関税」

 昨年11月の大統領選以降、トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」の経済政策への期待感から、米国株は堅調に推移してきました。しかし、関税引き上げをめぐる駆け引きが本格化すると、市場は動揺を見せました。

 S&P500は2月19日に6147ポイントの史上最高値更新後、下落に転じ3月13日までに10.5%も下落しました。株式市場は先行きの不透明感を嫌います。トランプ大統領が経済的なライバルである中国だけでなく、カナダやメキシコ、さらには日欧の同盟国に対しても関税引き上げの圧力をかけ始めたことが、市場の不透明感を高めているのです。

 特に3月10日の出来事は市場を翻弄しました。カナダ、オンタリオ州のフォード首相が、カナダから米国への電力輸出に25%の税を課すと発言、その影響は150万人に及ぶと述べたのです。カナダのオンタリオ州は、米国のニューヨーク州や、ミシガン州へ電力の輸出をしています。

 この発言を受け、トランプ大統領はカナダに対してのこれまで25%としていた鉄鋼・アルミニウムの関税を50%へ引き上げると脅したのです。フォード首相はトランプ大統領の脅しに屈し、発表した政策を撤回すると、トランプ大統領も25%の関税に戻すことを決定するという結果となりました。

 トランプ大統領の関税政策の「最大の問題点」は、トランプ政権の関税戦略が明確に示されておらず、市場参加者だけでなく、一般の米国民までもが混乱していることです。

 例えばFRB(連邦準備制度)の場合は、「我々は2%のインフレ目標に到達しようとしており、これが今後の計画です」といった具合に、今後の方針を発表します。

 ところが、トランプ政権では次に何が起こるのか予測ができません。1日で関税が25%上がったり下がったりする不安定な政策運営がその象徴です。そのために、これまで強気だった投資家心理に変化が生じ、マーケットは乱高下を繰り返しているのです。

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