あなたの人生に「友達」は何人必要か…スマホから“SNS”を削除すると何が起きる?

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その情報いらないんですが

〈しかしちょっと考えてみればわかるのだが、それらのほとんどが知らなくてもどうってことはない、生きていくうえで必要不可欠ではない情報ばかりであることは間違いない〉

 フォローしているアカウントが発する情報は興味深いし楽しいことは認識しつつも、このように結論づける。

〈だがいってみれば、どれもが趣味の範疇にまつわるもの。知らなくても生きていくうえでの支障は何一つとしてないはずなのだ。そこで、スマホからSNSをすべて消去してみた。するとやはり一日の有益な時間が確実に増えるし、書く上での集中力も間違いなくアップすることが実感できたのである〉

 そして筆者もSNSを一つやめた。Xはイベントや執筆記事・書籍の宣伝になるため積極的に使っているが、問題はFacebookである。1400人ほどの「友達」がいたのだが、日々更新をする人が6人で、時々更新する人が15人といったところ。日々更新する人は、もはや中毒ともいえるような状態になっており、実際の知人ながら「その情報いらないんですが…」と思ってしまったのだ。

1400人も友達はいない

 他のSNSにユーザーを奪われ、Facebookが過疎化していていく中で、著名人が情報商材をオススメするかのように見せる広告が登場する。まるで堀江貴文氏や故・森永卓郎氏が推奨しているかのような動画が流れ、購入を訴えてくるが、実際はそんなことはない。さらには、佐賀県在住の私に向けて佐賀県内のラーメンについて語り合うグループの投稿が表示されるようになった。いやいや、私、そこのメンバーじゃないんですが。

 あとは、セクシーな女性が登場するリールが常に表示される。いや、こんな動画、一度も見たことないのですが。そして、怪しい外国人からの友達申請も連日押し寄せ「ブロック」「削除」が忙しくなってしまった。まぁ、人生で付き合える人間なんて限られているから、もうやめるか、何しろ1400人も友達はいないもんな。過去に会ったことがある人が儀礼的に繋がっているだけだもんな、と思い、エイヤッと削除したのだ。

単純作業労働者

 そして、TAJIRI同様、何も困ったことはないのだ。メッセンジャーでやりとりしていた人にしても、誰かを介せば連絡先は分かる。そして、ここが重要なのだが、私はスマホを持っておらず、SNSにアクセスするのはPCだけだ。それでもここまで煩わしかったのだから、スマホで常時SNSやニュースサイトの情報に触れる人はさぞやウザかったことだろう。暇つぶしのツールとしてスマホは最強だが、のめり込むのはリタイア後でいいのでは。

 現役世代の人々はどうでもいい情報に触れるのではなく、本を読んだり友人と実際に会ったりするなどして差別化される情報を獲得した方が人生好転すると思う。電車に乗ると7人掛けの席の全員がスマホを見ている、なんてことはザラ。これはプラットフォーマーとコンテンツ配信者の策略にハマっているだけで、あなたは彼らを儲けさせる単純作業労働者のようなものなのである。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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