あなたの人生に「友達」は何人必要か…スマホから“SNS”を削除すると何が起きる?

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ドゥームスクローリング

 スマホの情報は人生にとって無駄なものが多いと感じたことはないだろうか。もちろん、検索・買い物・予約・Slack等で仕事をサクサクと進めることなど「機能」の面では絶大なる利便性をもたらす。が、問題は無駄な情報の氾濫である。

 スマホに依存し、常にスマホに触れていなくては落ち着かない状況について、スウェーデンの精神科医であるアンデシュ・ハンセン氏は著書『スマホ脳』(新潮新書)で実態を明かし、世界的ベストセラーになった。ハンセン氏は、人は1日4時間スマホを見て、一日2600回触っているとの調査結果を報告。

 さらに、iPhoneの生みの親であるスティーブ・ジョブズは自身の息子にデジタルデバイスを与えなかったという記述もある。「中毒」状態にさせるつくりになっていることを熟知しているがゆえに我が子にはスマホから離れてもらいたいと考えていたのだろう。

 また、先日筆者が出演した「ABEMA Prime」(ABEMA TV)という番組では、「ドゥームスクローリング」について取り上げた。これは、悲観的、絶望的な情報を自ら進んでスマホに取りに行き、時間を大量に使って精神的に病んでしまう行為のことである。ゲストとして登場した元当事者の男性は、ウクライナ戦争やガザ地区の紛争に心を痛め、「なぜ人がこんなに亡くなっているのが許されるのだ」と義憤を覚えた。そのため、悲観的な情報をXで見つけに行き、せめて悲劇を終わらせる一助とするべく、リポストをし続けたのだという。

スマホからSNSを削除する

 1日あたり、12時間もこの行為に使っていたが、3つのきっかけでドゥームスクローリングをやめることができたそうだ。1つは恋人から「私とスマホどちらが大事なの?」と言われたこと、2つ目は上司から彼自身がドゥームスクローリング状態に陥っていることを指摘されたこと。そして最も大きかったのが、友人から「お前の発する情報は見たくない」と言われたことだという。

 SNSとネット記事は、個々のユーザーが関心を持つテーマをアルゴリズム化して「オススメ」として表示させる。それが「スマホの沼」にハマってしまう理由である。正直、スマホに表示される情報の多くは自分の人生にとって無意味である。むしろ、気持ちを落ち込ませたり、果てには怒りを覚えたりする結果となって無用なバトルにも発展する。

 だったら何をすればいいかといえば、スマホからSNSのアプリを削除してしまえばいいのである。ブラウザからアクセスはできるものの、見るための手順が多くなるためあまり見なくなる。さらに、アプリには通知件数が常に出ているため、これが気になって仕方がないが、削除してしまえばこうした問題も削除される。

 これを実践したのが九州プロレスのTAJIRIだ。エッセイ集『プロレスの味わい 世界から地方に来て幸せになった男』(西日本新聞社)で、この件について1章を使って言及している。知らなかった情報を得ることができることは認めつつもこう続ける。

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