看護師が打ち明ける“転職しても経験が生かせる”のは「何科」? 激務を承知で「救命救急センター」を希望する人もいる医療従事者のリアル
看護師あるある
最後に、普段日常で感じる看護師の「あるある」を聞いた。
「自分が病院を受診する際は看護師であることを隠しがちだが、会話の中のちょっとした言葉からバレることも多い」
「足がくさい(笑)」
「手にうんちが付いても気にならなくなる。洗えば済む話なので」
「医療ドラマと現実の違いが気になりすぎて、医療系のドラマは心から楽しめない。転落防止の柵がなかったり、マスクしてないとかあり得ないと思ったりしてしまう」
「平和な夜勤中に『今日は落ち着いていますね』と言うと、必ずと言っていいほどその後に緊急入院や急変などドタバタするので決して言ってはいけないセリフです」
「美容クリニックで脱毛を担当しています。よく患者さんはVIO(足の付け根周辺)の脱毛を恥ずかしがりますが、看護師は全くと言っていいほど気にしていません。特に私は産婦人科の看護師をしていたので」
もう1つ、「現場から世間に対してのお願いはあるか」と問うたところ、こんな声があった。
「重要性のないナースコールは有料にしてほしい。119番で救急車を無用に呼ぶことが問題視されるようになっていますが、院内では自分でできることもやらない、お手伝いさんがわりにナースコールで看護師を呼ぶ患者さんが非常に多い」
看護師向け転職エージェント比較サイトを運営している「株式会社SOKKIN」の調査では、97%の看護師が患者との関わりで困ったことがあると回答。
また、約8割の看護師が「患者から暴力やハラスメントを受けたことがある」、約6割が「身体的暴力を受けたことがある」とした。
いうなれば、彼らが相手をするのは、「患者」という名の「客」だ。身体に触れるセンシティブな現場なうえ、多様な価値観や倫理観と対峙しなければならないのに相手も選べない。カスハラやセクハラが生じやすい最悪の条件ともいえる。
「看護師は、人生で誰もが必ず一度は向き合う存在だと思います。ご自身やご家族の病気やケガで病院にいらっしゃっているため、ご不安なのは重々承知していますが、私たちの過酷な現場の状況を知ってもらい、少しでも気持ちを穏やかにしていただけると、結果的にこちらもいいホスピタリティが提供できると思います」
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