新たな“怪物候補”がセンバツでベールを脱いだ…打者を翻弄する「横浜・織田翔希」の「40キロ球速差」に甲子園の観客とスカウト陣が湧いた
選抜高校野球大会第2日の第2試合、「横浜」対「市和歌山」戦で、“新怪物候補”がベールを脱いだ。その投手とは、横浜の2年生右腕、織田翔希である。織田は福岡県の出身で、中学時代は、北九州市立足立中学でプレーしており、3年時には全国大会に出場。硬式球に比べるとスピードが出づらいと言われている軟式球で143キロをマークして当時から話題となっていた大型右腕だ。全国の強豪から誘いがあった中で横浜へ進学。1年春から公式戦で登板すると、昨秋には2年生ながら主戦投手となり、関東大会と明治神宮大会優勝に大きく貢献した。【西尾典文/野球ライター】
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高校2年生投手が150キロを連発
そして迎えた甲子園での初戦。織田は、立ち上がりから甲子園の観衆を大きく沸かせる投球を披露する。市和歌山の先頭打者を相手に投じたストレートはいきなり149キロを計測すると2球目には151キロ、さらに4球目には152キロをマークしたのだ。ちなみに、この球速は、選抜高校野球で2年生投手が記録したものとしては、2013年に出場した安楽智大(済美、元楽天)に並ぶものである。
その後も140キロ台後半のストレートを中心に相手打線を力で抑え込み、3回まで被安打1、無失点と好投。4回からは少し球威、制球ともに落ちて5回を投げて2失点(自責点1)でマウンドを降りたものの、新たな怪物誕生を予感させるには十分な甲子園デビューとなった。
試合後、織田は、自身の投球について、こう振り返っている。
「監督にも立ち上がりの入りが大事だと言われていて、3回までは良かったのですが、4回にブレーキがかかってしまい、5回も立ち直れずに失点して自分の悪いところも出てしまったと思います。(初回の152キロについては)ベンチに戻って、数字が出たということは言われましたが、マウンドでは確認していませんでした。数字については、特に意識はしていませんでしたが、今日はピッチング練習から調子が良かったです。ただ、初めての甲子園で最後は悔しい思いでマウンドを降りたので、出た課題をどう改善するかが大事だと思います」
ピッチングのインパクトとは対照的に威勢の良い言葉は聞かれなかったが、逆に冷静さが強く印象に残った。また4回以降、ブレーキがかかってしまった理由については分かっていると話しており、それに対して「差し支えなければその内容を教えてくれますか」との質問が出た際には「ちょっとそれは言えないです」とはっきりと回答している。
次戦以降のことを考えて、対戦相手に研究される材料を与えないためにも具体的な問題点を明らかにしなかったと思われる。2年生でありながら、このような受け答えができるところにも、大物ぶりが感じられた。
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